【武蔵ヶ辻・金沢アートグミ】
「二十億光年の孤独」と銘打った展覧会が、武蔵ヶ辻のNPO法人「金沢アートグミ」で、9月8日まで開催されています。何とも掴みどころのない宇宙を思わせる不可思議なネイミングですが、工芸と現代アートの展覧会です。頭が固いのかネイミングと展覧会の内容が繋がってきませんが、先日、何の予備知識もなくブッツケ本番で見に行きました。
ブッツケ本番!!8~9年前から子供達と現代アートを、作品を観た時の感想を重視し鑑賞するプロジェクトに参加させて戴いてから、作品を頭で理解するというより、五感で感じることに重きを置いて鑑賞することを憶え、ブッツケ本番!!横着ではなく、自分の感性に拘り、聞かない、読まないというのが癖になっていたつもりですが、今回ばかりは、ネイミングや作品群のテーマなど気になって、鑑賞後、すぐ調べていました。
(作品を観た時の感想を重視する鑑賞法:アメリア・アレナスの提唱する対話型鑑賞で、想像力を喚起しながら他者とのコミュニケーションを図ることに重点をおき、作者の経歴や美術史的考察によって価値づける作品観や鑑賞法ではなく、作品と鑑賞者のコミュニケーションを通じた関係によって意味が付加されるというアレナス独自の作品鑑賞法。)
(原口典之のオイルプール)
展覧会は、「工芸と現代アート」をテーマに、古いモノと新しいモノから選んだというのですが、どのような意図でそれらが選抜されたか分りません。インパクトのある不可思議な作品を紹介するというものだそうで、第1室目は1970年代から活躍でドイツの「ドクメンタ6」にも出品したという著名な「モノ派」の原口典之さんの代表作のオイル・プールがオイルの匂いと共に展示されています。
(初代宮崎寒雉と宮崎匠)
第2室は、藩政時代から金沢の工芸を代表してきた茶釜の名工宮崎寒雉の初代と当代のご子息で次期寒雉を継がれるという匠さんの作品、それから砂の作品で著名な山本基さんの砂を使わない作品、そして、吹きガラスの技法を使ったオブジェを制作する高木基栄さん、焼き物による現代的な表現を続ける川端健太郎さん、現代アートの小谷真輔さんら新進作家の作品が何とも絶妙な配置で展示さていました。
(初代宮崎寒雉)
タイトル「二十億光年の孤独」は詩人谷川俊太郎さんの代表的な詩から借りたものだとか・・・。主催者に聞けば意味ぐらいは分るのでしょうが、意地っ張りですから、いまだに、なんで「二十億光年の孤独」なのかよく分かりません・・・。
(川端健太郎)
今回の「二十億光年の孤独」展の作品群に共通するのは、誰かがいうように静謐(せいひつ)さと荒々しさが共存し、それぞれに独特のオリジナリティをもつ作品群であった・・・と私も感じました。分ったような分らないことを書いてしまいましたが、ヤッパ、これからも現代アートは、理屈や頭で理解しようとしないことにします。
それから、この展覧会は、金沢21世紀美術館で開かれた第2回金沢・世界工芸トリエンナーレの関連イベントで金沢市内21ヶ所のギャラリーやショップがそれぞれ展覧会を開いたもので、「金沢アート・スペース・リンク」と名付けられ、7月後半から9月にかけ、それぞれ個性を競うというもので、ギャラリー同士は普段はライバル関係にもありますが、NPO法人の「アートグミ」の呼び掛けで実現したとか・・・。
そうそう谷川俊太郎さん「二十億光年の孤独」に
・・・
人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがったりする
・・・・・
万有引力とは
ひき合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う
宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である