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Channel: 市民が見つける金沢再発見
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あかねや橋から香林坊橋まで《鞍月用水3》

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【柿木畠→香林坊】
あかねや橋から住宅地の間を抜けて日本基督教団金沢教会の脇まで鞍月用水は開渠ですが、すぐ暗渠になり柿木畠の広見の地下を流れ下柿木畠橋で、惣構の堀と鞍月用水の合流地点が見える所から開渠になっています。今は跡形もありませんが、広見のところに架っていた橋の名を藩政期は「御厩橋」といわれていたそうです。


(御厩橋は、堀幅も広く、また、惣構の堀に架かる橋でありことから防衛上にも重要な橋で、他の用水に架かる橋は4間未満であるのに対して、東内惣構に架かる枯木橋と同じく橋の長さは5間(9m)で有ったといいます。)



(教会横を流れる鞍月用水)


(教会前の柿木畠の広見・下は鞍月用水)


柿木畠は藩政期からある町名です。火除け地に植えられた柿の木に因んで付けられたもので、飛鳥時代、万葉集で有名な歌人「柿本人麻呂」をもじったものです。語呂合わせや音で言葉や地名を憶えた時代、根拠はいざ知らず「柿の木のもとでは火が止まる」という駄洒落から、火除け地に柿に木を植えたことによるものと思われます。



(柿木畠広見)

(合流前の惣構の堀・宇都宮書店前)


(鞍月用水と惣構の堀合流地点)


3代藩主利常公の時代、寛永8年(1631)及び12年(1635)の火災から、この一帯を火除地としたため、藩士の邸宅を移転させ空き地にし、柿の木を植えたといいます。利常公の死後、利常公に仕えた家臣が小松から金沢に移住したので、万治年間(1658~1660)から藩士の邸地となりました。


(宝暦8年(1758)当時の金沢町絵図では、まだ柿木の畑が少し見られますが、宝暦9年(1759年)の大火災の後には、柿木の畑はすっかり消えます。しかし、その名は今に伝わり、最近では、町中に柿木が植えられ、駄洒落とはいえ由緒ある町名を名実ともに伝えようとしています。)




(柿木畠を流れる鞍月用水)

柿木畠で西外惣構の堀と合流した鞍月用水は、香林坊橋(犀川小橋)へ、香林坊橋は今、完全に暗渠で、わずかに、かっての欄干の一部が残っています。藩政期は長さ6間(10,8m)で廃藩の後、橋際に土居を築き橋を縮め4間の土橋にしますが、今は、聞かないかぎり用水の上であることなど全く気付かない道路のなっています。



(橋など見えない今の香林坊橋)


香林坊橋(犀川小橋)より下流の鞍月用水の水路は、かっての犀川の分流がたどった川筋とは異なり、しばらく城のかたちに沿って流れ、三社河原の左を取りすぎ、やがて旧鞍月集落へと流れます。



(香林坊の由来と香林坊橋の石柱)


香林坊は、金沢市の中心部に位置する地域の名称で、町名の由来は、比叡山の僧であった香林坊が還俗して、この地の町人向田家の跡取り向田香林坊(むこうだこうりんぼう)となり、以来目薬の製造販売に成功して「香林坊家」として繁栄したと伝えられています。



(香林坊交差点と地蔵尊)


≪香林坊地蔵尊伝説≫
越前朝倉氏に仕えた向田兵衛は天正8年(1580)香林坊に移り住み、町人となって薬種商を営み、比叡山の僧であった縁者の香林坊を婿養子に迎え、店の名も香林坊とします。ある夜、兵衛の夢枕に立った地蔵尊のお告げにより処方した目薬が、藩祖前田利家公の目の病を治し、香林坊は大いに名を上げました。やがて夢で見た地蔵尊を造り店の小屋根に安置すると商売はますまし繁盛します。寛永の大火のとき、地蔵尊辺りで不思議と火が止まり、香林坊の火除け地蔵とも呼ばれるようになったといわれています。



(香林坊地蔵尊)


≪もう一つの香林坊橋”道安橋”伝説≫
香林坊橋(犀川小橋)は、道安橋ともいわれていたそうです。橋名は小橋天神の社僧道安が橋側に住んでいたことによるもので、神社の古い由来書によると、菅原道真公の弟が河北郡吉倉村(津幡町吉倉笠谷地区)に創建したと伝えられています。山伏を社僧とする神仏混淆の社で、託宣により小橋の詰めに遷座し社殿を建立したことから、香林坊橋は「道安橋」とも呼ばれたそうです。その頃の小橋天神の社地は香林坊橋の上、今の香林坊109辺りで有ったと伝えられていますが、元禄3年(1691)の小橋天神の由来書には、慶長2年(1597)犀川小橋の橋詰め、家がわずか十軒ばかりの河原に移ったと記されています。


(藩政期、修験派山伏の宝来寺が別当の天満宮でした。慶長19 年(1614)大阪夏の陣がおこり、藩主前田利常公が出陣に際し利常公の乳人が無事凱旋を祈願したといいます。現在の小橋菅原神社。)


(香林坊下)

参考文献:城下町金沢学術研究1「城下町金沢の河川・用水の整備」金沢市2010年3月発行・笹倉信行著「金沢用水散歩」1995・4・20十月社発行・読売新聞社金沢総局著「金沢百年 町名を辿る」能登印刷1990年7月発行ほか


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