Quantcast
Channel: 市民が見つける金沢再発見
Viewing all articles
Browse latest Browse all 876

“美濃”重要伝統的建造物群保存地区

$
0
0

【岐阜県美濃市】
ご縁があり、白峰から1日おいて、またまた重伝建地区に行っていました。その日も雨模様、仲間内の観光ボランティアガイドの年に一度の日帰りの研修旅行です。平均年齢は何処にも負けないくらい高いのですが、皆さんは向上心も高く前向きで、いや上向きで、今年は、うだつが上がる“美濃”がターゲットになりました。

(うだつの上がる町)


(今回は“美濃”の帰りに、もう一つの重伝建地区郡上八幡市にも寄りましたが、大人数の団体でしかも雨降りから、思ったより時間がかかり、郡上八幡には夕暮れ、滞在時間の30分は、土産あさりに終始し、遠くに見えるお城をカメラの望遠レンズで眺めるだけに留まりました。)


(東海北陸自動車道にて)

全国の重伝建地区は、今のところは除夜の鐘と同じ数の108だそうですが、その内の一割足らずしか行っていなくて、余り分っていませんが、私が訪れた地区は、権力者である大名がいた城下町以外のどの地区でも、昔はそれぞれの土地の産物や事業、そして酒造業等で巨万の富を築いて大金持ちがいて、したがって町や村は裕福だったことから今もそれらを象徴するような町並みに残されています。


(美濃市は、藩政初期まで金森長近の治める城下町でしたが、長近没後の元和元年(1615)に尾張藩領となりました。昔は上有知町(こうずちまち)といわれ、長良川に面した上有知湊(こうずちこう)は水運の要衝で和紙を中心に栄えました。明治44年(1911)から美濃紙にちなみ美濃町になり、昭和29年(1954)の市制が施行され、現在は約2万7千人と岐阜でも一番人口が少ない市ですが、歴史もあり昔ながらの大きな商家が残っている町だけにもっと人口が多い町のように感じられました。)

(美濃・重文の小坂酒造場での皆さん)


美濃市美濃には、今まで見たこともない昔の大きな商家がありました。この地は、台地で水害を免れた反面、水利に恵まれず、たびたび火災に遭うと町全体が焼失してしまうことから、類焼を防ぐため、道路は、当時としは広く、家と家の間に防火壁になるようなうだつを上げ、建物は土蔵造りで、防火につとめたのだそうです。



(美濃の町並み)


家々の“うだつの軒飾り”は、次第に富の象徴として互いに競うようになります。その凝った装飾は、近年、それぞれの造形美が、アートとしても楽しめることから注目され全国から観光客が絶えないそうです。


(町の地図)


町中の東西2本の通りは、通称「目の字通り」といわれ、平成11年(1999)に国の重要伝統的建造物群保存地区(商家町)に選定されました。

(うだつの上がった屋根)

美濃市と教育委員会が発行する「うだつの上がる町」には、20数件のうだつの上がった古い建築様式の町家が紹介されていますが、今回はその中で国指定の重要文化財の小坂邸と今は市が所有する旧今井邸を見学しました。



≪百春蔵元小坂酒造場≫
安永年間(1772~1781)の初期の建物だと伝えられている小坂邸は今も「百春」という銘柄で知られる酒造業。美濃を代表する町家建築で、国の重要文化財に指定されています。この町家の“うだつの軒飾り”は、「起(むく)り屋根」という緩やかに膨らんだカーブが特徴で、曲線は重厚で美しく、上方文化の影響だといわれているそうです。



(重文の小坂家)


屋根が右と左で奥行きにさがあり、段違い屋根といわれ、左半分の屋根は小さくして、中庭を作り、奥の部屋の採光や風通しが考えられています。土蔵までしか見学が出来ませんでしたが、屋内は、間取りは片土間2列型、中の間の建具、調度、神棚などには古風を残していると冊子「うだつの上がる町」に書かれています。




(小坂家)

昔は3本うだつの家だったといいますが、屋根の改造のため中央のうだつの前半分を取り除いて現在の姿になっているといいます。また、この家のうたつ飾りは鬼瓦を欠いていて、鳥衾(とりふすま)破風瓦(はふがわら)懸魚(けんぎょ)の三部形式のなっていると書かれています。


(小坂邸は、現役で、何坪あるか分りませんが「観光ふれあい広場」駐車場のすぐ前に裏が見えますが、そこから、かなり歩きても、なかなか表に出ないほど広大な敷地の老舗でした。)


(うだつが上がったトイレ)


≪旧今井家住宅≫
今井邸は、庄屋もつとめた藩政期からの紙問屋で、平成6年から美濃市のしょうゆうになり美濃市資料館になっています。家は東と西で様式が異なり、江戸中期に建てられ、明治の初期に増築されたもので、“うだつの軒飾り”の形式はもっとも古いものが残っています。間取りは市内で最大規模、奥の6室が他よりも1段高くなった上段造りとなっているのが特徴です。



(今井家住宅)


書院造りの奥座敷は、床の間と、中庭が見渡せ豪商時代の栄華がうかがわせます。中庭は古風な造りになっていて、現在、環境庁の「日本の音百選」の1つに選ばれている水琴窟が静かな庭にかすかな金属音を響かせていました。





(今井家の奥座敷)

(水琴窟)

(庭)


(史料館)

(うだつ蔵)

(お社)

現在、旧今井邸は、美濃市の歴史、文化、建造物に関する史料を展示する「美濃史料館」、うだつのことが学べる「うだつ蔵」郷土芸能の美濃流し仁輪加(にわか)を紹介する「にわか蔵」があり屋敷内にはお社もあり、「にわか蔵」後ろにある「催しもの蔵」の建物は現在改築中でした。



(にわか蔵)


(幕末、金沢でも演じられていたという「俄(にわか)」は、こちらで美濃流し仁輪加(にわか)といわれているそうで「にわか蔵」で映像ですが、始めて見ました。)



(近くの「美濃和紙あかりアート館」にも寄りました。)


参考文献:「うだつの上がる町」美濃市美濃町重要伝統的建造物群保存地区・平成12年、美濃市発行など


Viewing all articles
Browse latest Browse all 876

Trending Articles