【金沢市内】
15日午前中、市内で観光ガイドをしてきました。傘を開いたり、閉じたりのグズグズした天侯で、昨日から北陸に入ったお客様の中には、始めて聞くこの時期の雷鳴が怖くて寝られなかったという方もいて「遠くからいらっしゃったのに」と思っているうちに私のガイドは終りました。
(昼間とは思えぬ空模様)
お客様は、次のところに移動して行きましたが、午後は、久しぶりに青空ものぞき、晩秋の日差しに紅葉も映え、絶好の散策日和になりました。
(一舜の晴天)
しかし、夕方には、雲行きが変わり、雷雨こそありませんが、シトシトと小雨模様になりました。この時期の北陸の気候を、街がまるで「回り舞台」の上に乗っているかの様で、これも素敵な金沢の味わいだという方もいますが、70年も金沢に住む私には、一瞬「あっそうか!」と思う尻から“やっぱ、いやや”と思ってしまいます。
(13日鉛色の空)
今年は、半月も早く冬が来ました。1日からズ~ト天候が悪く、冬型の気圧配置から寒気が入り込んだとかで、13日には、もう“あられ”や“ひょう”が降り”鰤起し”という雷鳴と雷雨を伴う大荒れの天気が続きました。
(14日昼間とは思えぬ空模様)
14日、朝の金沢の最低気温が6,4度。突風、雷雨が続き落雷被害から停電や倒木被害など、山では雪が降って、12月並みの冷え込みとか、そのせいか今年は紅葉も早いのか、何時もとはちょっと違った晩秋になりました。
北陸では、初冬、雷雨から強風になり、天が壊れて落ちてきたかのような、とんでもない雷鳴が鳴り響きます。寒気が大陸から南下し、日本海を渡るとき海面から暖かく湿った空気の補給を受け、寒気が日本海に着く頃、雷雲が発生し、それが雷鳴になり響き渡ります。この北陸特有の現象を「鰤起し」と呼んでいます。
これから獲れる鰤は、高波で身が締まり、寒さが脂をのせ美味しいといわれ”寒鰤“といいます。聞くところによると「鰤起し」が鳴り響くと、子供が作った俳句に“寒鰤の 目覚まし時計 鰤起し”というのがありますが、鰤漁の開始の合図だといわれています。
俳句の世界では“鰤起し”の季語は「冬」です。網は10月から掛けだしますが、活況を呈するのは、11月の終わり頃からといわれていますので、やはり今年の“鰤起し”は少し早いようです
(15日、近江町市場のふくらぎ、がんど、鰤の切り身(遠所モンか?))
“鰤“は出世魚で北陸では、こぞくら→ふくらぎ→がんど→ぶり(80cm以上)と出世しますが、関東ではワカナゴ→イナダ → ワラサ → ブリ、関西ではツバス → ハマチ → メジロ(イナダ) → ブリというそうです。(他説あり)
”鰤“という名称は”あぶら”ののった魚という意味だそうで、“あぶら”の「あ」の字を省略して”ぶら”が”ぶり“になったといわれています。寒鰤は、今月終りから3月の厳寒期が旬で、能登、氷見、など北陸で獲れた寒鰤は”あぶら“がよくのっていて、鰤の中の鰤ということなのでしょう。江戸時代も鰤は高級魚で、いい寒鰤は「鰤一本米一俵」だったと聞いたことがあります。