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金澤・城南野町筋⑥街鉄第二期工事と郊外電車の大合併

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【旧野町界隈】

街鉄第2期工事を進めながら、一方では近郊の私鉄との合併も着々と進めています。先ずは大正8年(1919)12月の松金電鉄、続いて、大正9年(1920)4月の金野馬車鉄は簡単に実現し11年(1922)電化、さらに金石電鉄では、高額な買収金はクリアしたものの、国鉄と立体交差(中橋)して市内線に繋げなければならず、この難関がクリア出来ず破綻になり、昭和の戦時中まで待つことになります。石川電鉄はもめにもめながらも大正12年(1923)5月に買収が実現します。

 

(現在の北鉄石川線野町駅)

 

(その間、大正9年(1920)3月、寺津発電所が完成し、大正10年(1921)4月、金澤電気ガス会社の事業の一部を譲り受け、金沢郊外の電力供給をはじめるなど、街鉄は事業の手を広げます。因みに現在問題になっている、今、市営の発電事業やガス事業は、大正期から昭和の戦時中まで、街鉄(金澤電気軌道株式会社)の事業でした。)

 

(現在の旧野町5丁目松金電鉄の停車場があったという場所)

 

郊外電車の吸収大合併

街鉄は、開通した大正8年(1921)8月28日に第1回の総会

が開かれます。提出された決算によると当期収入は65,355円87銭(現約2億6千万円)差引利益金35,429円26銭(現約1億4千万円)と目覚ましい成果を確認して、発起人であり永年創立委員長を務めた社長本多政以が勇退され、やり手の専務小塚貞義が社長を継ぎます。さすが本多家は、旧藩加賀八家の筆頭年寄で、旧藩主前田家の習いか“金は出すが口は出さない”を地で行ったものと思われます。そんな中2代目の社長は、郊外電車の買収と同時に発電とガス事業へ拡大し、手を広げています。

(大正年代の1円は現代の約4,000円として計算)

 

(道路は、昔の松金電鉄の軌道)

 

松金電鉄は、明治37年(1904)に馬車鉄道で営業開始、大正5年(1916)に電化、大正8年(1921)に街鉄が買収。松金電鉄は、金沢野町から松任をつなぐ鉄道で、発着駅は現在のお稲荷さんのところにあり、その周辺に街鉄が電力事業に進出していたので変電所が置かれていましたが、戦時中の企業統合で北陸電力に譲り渡され、現在は稲荷社だけが残っています。この稲荷社は、いまも近隣で信仰を集めていますが、古くからの付近に住む人たちによると、昔は至って小さな祠でしたが、お告げを受けた発起人により、現在の稲荷社に改築したそうですが、松金電鉄が勧請したという説もあります。松金電鉄の発着駅はこの辺りで南大通り(野町の大通りから今の稲荷社辺りが構内で、そこの鎮座していたもと思われます。

 

(道路沿いのお稲荷さん)

 

「金澤・野町400年」には、旧野町5丁目までの第2期工事が完成すると街鉄は、旧野町5丁目で折り返し、念願であった松金電鉄と連絡が出来るようになります。「松金」と呼んだのは、お察しの通り、金沢松任間を走ったのでその頭文字を採ったので、馬車鉄道の頃は、発着場石坂与力町地内にあり、初めの頃は、野町4丁目終点より、上小柳町を抜けて乗り換えたそうで、現在から見ると、いたって不便なものでした。また、いまの稲荷社の前を通る道路は、市電が廃止される前は電車の軌道で、地図の様に街電と松金線が繋がったのは、昭和7年(1932)に南端国道が出来てからだと思われます。)

 

(旧野町5丁目の歩道・南端国道建設に際し両側3間ずつ拡張します)

(街鉄のあった時代の野町筋の地図)

 

(現在の旧野町4丁目の街鉄の終点辺り)

(現在の上小柳町の小路)

 

金野馬鉄:大正5年(1916)1月、営業運転開始。白菊町から野々市(現西金沢)で、当初はで野町吹屋場跡に仮停車場を9月1日より白菊町駅まで全線開通。大正9年(1920)に街鉄により電化になり、最後の馬車鉄道だったと云われています。

 

(現在も残る製材会社)

(元白菊町駅の在った辺り)

 

石川電鉄:金澤・鶴来間を旧鶴来街道沿いで計画されるが、資金難から鶴来・野々市間に短縮し、野々市駅で金野電鉄に連絡させ、後に金野電鉄と統合、鶴来からの材木の飛躍的に伸び、白菊町辺りは、製材所や木工場も出来ます。大正12年(1923)5月に街鉄に買収されます。

 

(兼六園下にあった北鉄本社前)

 

(昭和17年(1942)金沢電気軌道株式会社(街鉄)は、北陸鉄道株式会社と社名を変更し、同時に街鉄と呼んでいた市街電車を「市電」と呼ぶようになりました。)

 

つづく

 

参考文献:「石川百年史」石林丈吉著 石川県公民館連絡会 昭和47年発行 「金澤・野町の400年」金澤・野町の400年刊行委員会 平成12年発行


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