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金沢二十五天神巡り(第2回)

【三社→長田→本町】
6月27日。金沢二十五天神巡りの2回目40人が石川県女性センターに集合し、参加の皆さんも余り歩いたことの無い三社周辺から駅西、駅前の本町まで2時間。昨日の雨が嘘のような上天気の中、牛歩のごとくゆっくりと長蛇の列をなし五社を巡りしました。


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市民が見つける金沢再発見

(豊田白山神社にて)


今回巡る天神さんは藩政期、神仏習合の寺社ですが、明治になり復飾して神社になった豊田白山神社と長田菅原神社、平岡野神社の外はお寺(三寺は、廃寺、移転、寺社分離)として天神さんが祀られています。


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(金沢城下の天神さん・今回はブルーのところを巡る)


≪今回の天神巡り≫
8常光寺 三社摂殿(三社町)天台宗。現在、豊田白山神社
9 成応寺長田本社(長田一丁目)本山派山伏。現在、長田菅原神社
(10出雲寺大社別伝 (*中橋町)天台宗。)
11放生寺奥院尊像(広岡一丁目)曹洞宗。現在も放生寺
12 顕証寺三王摂社(広岡一丁目)真言宗。現在、平岡野神社
(13灯明庵三高(天)天神(*本町) 曹洞宗。)
14持明院白髭別殿(本町一丁目) 真言宗。現在、白髭神社

(10出雲寺は廃寺なり、大社は豊田白山神社へ。13灯明庵は、灯明寺のなり現在大乗寺へ)


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(三社交差点辺りからスタート)


≪第2回の寺社解説≫

8常光寺 三社摂殿(三社町)天台宗。現在の豊田白山神社
「亀の尾の記」によると泰澄作と言う「白山妙理大権現」「十一面観音」が祀られ、また、右に八幡、左に春日神を祀る。他、伝泰澄作の七尺観音、伝恵心僧都作聖観音があり、観音信仰の盛んな社であったが、明治2年復飾し寺号を廃止し、豊田白山神社としました。現在は、天満宮及び廃寺になった「出雲寺」の扁額があります。左側にある天神堂があり、天神さん(渡唐天神画像・網敷天神画像)は本殿に合祀されています。網敷天神画像は出雲寺の御神体であった天神であったとみられています。


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(お寺の建物そのままの現豊田白山神社)


(三社の宮と三社町:元は石川郡戸板12ヶ村の一つで、村の中心に白山神、八幡神、春日神を合祀する三社の宮が鎮座されたことから、三社と呼ばれ、藩政中期から城下の外域の住宅地となり、元禄9年(1696)には三社町となり、一部武士の御用地に接収され、在住農民は今の湯涌町に強制的に移住されています。)


この辺りは、藩政期から三社が付く小名があったと聞きますが、その幾つかは昭和の町名変更で消えてしまいました。それでも道路、水路に藩政期そのままと思われる“ドンド”つずらおり“”七曲り““木揚場”などがあり、明治の町名にも今後、町名復活が期待できそうな町名もあり、町を歩くと思いがけず歴史に隙間に誘い込まれそうな錯覚に陥ります。


三社の旧町名:三社川岸、三社宮ノ右、三社垣根町、三社山田町、三社宮ノ前、三社木揚場など


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(昔からある三社の九折(つづらおり))


9 成応寺長田本社(長田一丁目)本山派山伏。現在の長田菅原神社
現在の拝殿は、藩政初期の建築で金沢城にあった東照権現の護摩堂です。成応寺は長田社の別当寺で、明治元年復飾。天神は、菅原道真の自作と伝えられていたが今は不明。延久元年(1069)後三条院が病気平癒を祈願するため諸国に一社づつ北野社を勧請した内の一つです。


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(昭和54年屋根を修復する前までは雪が屋根から落ちなかった長田菅原神社)


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(平成元年より2年越しで修復された朱丹総漆塗りの拝殿)
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(長田菅原神社で宮司さんに解説していただきました)


10出雲寺大社別伝 (*中橋町)天台宗。(廃寺)大社は豊田白山神社へ
元は天台宗茲眼山常楽寺といいましたが明暦元年(1655)出雲社の再興のより出雲寺と呼ばれるようになりました。明治41年、豊田白山神社に合祀されます。現在、中橋町の跡地は痕跡も残っていません。


11放生寺奥院尊像(広岡一丁目)曹洞宗。現存
元応2年(1320)総持寺を建てた瑩山禅師の建立といわれているが、一時退転。元和元年足利義昭に仕え、その後、光秀、秀吉、秀次に、さらに文禄5年(1596)以後、前田利長公の仕えた津田重久を開基として再建されました。天神は重久の守護仏であったという、忿怒形の天神画像が伝わっています。


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(放生寺の天神画像)
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(放生寺のところに昔大乗寺がありました)

12 顕証寺三王摂社(広岡一丁目)真言宗。現在の平岡野神社
延暦年中、叡山僧が山王を勧請したのに始まります。戦乱のおり一時退転。利常公の氏神だったことから、寛永12年(1635)再興されました。愛染明王画像、宝塔曼荼羅などの社宝を有するが、天神画像は明治元年復飾の際、他の仏像等と共に放生寺に移されました。

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(平岡野神社)


13灯明庵三高天神 (本町一丁目) 曹洞宗。現在の灯明寺は大乗寺へ。
元野々市のあり、大乗寺の寺中であったという。「亀の尾の記」によると、現在地にあった“大乗寺”が本多町に転地の際、そのまま残ったといいます。三高天神画像の他、利家公の画像も伝わっているそうです。三高の名のいわれは不明。(三高天神または三天天神としたものもあるが、これも不明。)



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(左のビル辺りに灯明寺がありました)


14持明院白髭別殿(本町一丁目) 真言宗。現在の白髭神社
真言宗で江林山と号す。白髭の社僧で、白髭社は永長年間(1096~7)の建立といわれ、一時中絶したが寛永年中の復興。社地をいくつか変遷し現在地へ。金沢駅前の木の新保時代が長く「亀の尾の記」には沢田義門奉納の竹布の天満宮画像があると伝えています。現在、天神像及び画像を安置していて、かっては毎月26日に祀っていたそうです。白髭別殿の社僧持明院は蓮寺で有名ですが現在は神宮寺町へ。


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(白髭神社にて、ここの狛犬はライオンでした)


≪天神信仰について≫
本来、天神とは、 天津神(あまつかみ)のことで、雷神でもあり、特定の神の名ではありませんでした。故事、霊験によると“天神さん”は70余を数えるといわれ、本来、菅原道真公だけに称されたのものではなかったのです。


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(長田菅原神社①)


菅原道真公は太宰府へ左遷され、2年後に亡くなりますが、その後に都で起こった様々な災害の殆どが道真公の祟りとされ、災害(特に天災)は祟り = 道真公 = 天神 という考えが浸透していきます。道真公の死後27年後。有名な御所の清涼殿落雷事件がおき、当時の醍醐天皇は余程ショックだったのか、その後すぐ病に伏して、3ヶ月後に亡くなります。


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(長田菅原神社の漆塗りの拝殿)


この清涼殿落雷事件により、道真公は完全に天神としての位置を決定づけられ、時を経て、天暦元年(947)北野天満宮創建をはじめ、後の天皇からの追贈位や御幸等、道真公を鎮めようとするとともに、天神信仰と発展します。


また、神仏集合の進むと道真公の天神は十一面観世音菩薩と同一視され、慈悲の神として崇められる様になっていき、道真公の天神は正式名として「天満大自在天神」という称号を朝廷から贈られています。


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(元禄時代の天神さん・長田菅原神社)


一方で観音さんは三十三身に応化するといわれ、その一つに大自在天身がある為と思われます。道真公が優れた学者でもあったことから、現代では学業の神様として信仰を集めています。


(前田家と天神さん及び金沢の二十五天神については、金沢天神巡り(第1回)を参照。)


(つづく)


次回の天神巡りは7月25日の予定。


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