【浅野川大橋→中の橋】
金沢では、大学の先生たちが10年ぐらい前から「町家トーク」「町家見学会」「町家人のたしなみ」など、町家、町家と言い出し、普段は非公開の市内の町家を使い、期間限定で、意見交換会やインスタレーション、コンサート、演劇などのアートイベントが開催されるようになりました。
それが、“町家で学ぶ“になり、”住みたい町家を探そう“”町家大掃除“”町家に住もう“”町家の仕事“”町家でアート“と掛け声も随分変化して、この頃は” 町家ショップめぐり“といい、改修された町家めぐりが行なわれています。その間、NPO法人金澤町家研究会が立ち上がり毎年「町家巡遊」という市内の町家を巡るイベントが定着しています。
(聞くところによると、金沢の旧市街地には約8千棟の町家が残っているそうですが、最近では毎年約300棟近くが取り壊されており、「歴史都市」に認定された金沢の都市資産が消滅の一途を辿っているそうです。その状況を打破しようとNPO法人金澤町家研究会が組織され、調査研究活動として設立されたそうです。因みの金沢町家とは、昭和25年以前に建てられた木造住宅のことだそうです。)
最近は、改修したり再生された町家もかなり増え、工芸のショップやアーチストのアトリエ、それから何人かでシェアするところもあり、その場を公開するところも出来ています。近い将来、工房でありながらショップとして金沢観光の一翼を担う存在になりそうな勢いを感じますが、あと一つそこで製作しながら生活が成り立つかどうかが今後の課題だと思います。
アーチストは、頼まれもしない仕事を、自分の“意思“と”意志”で創ることから、他人が見ると金にもならない仕事に、アルバイトしながらそれでも嬉々として打ち込んでいるのを、別次元に住む人のように思い、勝手にやっているのだからと人毎としてしか見ませんが、誰も霞を食って生きて行けないのですから、非常に難しいことですが、安く住めるというだけでなくアーチストが金になるようなことも含めて研究をしなければ、一過性のものに終わってしまいそうです。
(活版印刷)
先進地京都の西陣では、伝統工芸西陣織が30年前の5%の出荷しかなく、衰退の一途を辿りだし、西陣産地の継承は、“アーチストの集まりから始まる“として現代アートの作家を町家の仕事場兼住居として貸し出し、今や170組以上が家族と入居していると聞きます。そして、それが西陣に新しい産業を生み、新たな生活スタイルを提案している場になっているといいます。そして、アートやアーチストを文化としてとらえるのではなく、産業としてとらえるといいます。
今日は、最近オープンで、この間、見てきた東山のシェアアトリエ”ひがしやま荘”を書こうと思ったのですが、書いている内に前に「金沢まちづくり市民研究機構」で研究した、「アーチスト・イン・レジデンス」のことがダブり、そちらに反れてしまいました。今回は”ひがしやま荘”は写真と簡単な紹介にして、またにしますが、入居者の組み合わせが素敵でした。
昭和13年から続く建具屋さんの作業場を、2つのアトリエと3つのものづくりが入居し、中でも、活版印刷のユートピアノやオリジナルの箱を創るHACO:yaなどアートだけに固執するのではなく、しかし、アート関連の職種がシェアしているのが“いいな~”と思います。
え~と、突然です・・・。何故、町家にアートなのか!ああ、それ以前にアートですが、少しややこしくなりますが、私たちの常識ではアートは作品であり、アーチストはそのアートを生み出す人です。大体は生活において便利という物ではなく、役に立たない物のように思われていますが、よくよく考えると、これがどうして!!その効用は、人類の歴史において図り知れないものがあることに気づかされます。
アートの本質は「感動や沈黙を含んだ奥深いコミュニケーション」といった大学の先生や「異文化のコミュニケーション言語」といった美術館長もいましたが、どうも分かりにくい。工芸やデザインは、お客様の注文によって作られる「製品」ですが、アートは作品で、神が地球を始めて創った?ように、全く新たな表現?であり(創造性)、個人の表出(独自性)で、それが他者とを繋ぐコミュニケーション(意志(思)疎通)ということのようです・・・。
アートはすべての接着材かな・・・。(受け売りで~す。)
参考資料:金沢まちづくり市民研究機構8Fグループ研究成果報告書「金沢まちなかアーチスト・イン・レジデンス」より