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Channel: 市民が見つける金沢再発見
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兼六園の曲水と杜若(カキツバタ)

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【兼六園内】
兼六園の曲水は、山崎山の麓の岩間から花見橋へ、板橋から大きく湾曲する水路はU字形をなし千歳橋へ流れ、旧竹沢御殿の書院前だったという雪見橋や雁行橋が架かる七福神山辺りを抜け、旭桜袂の橋、月見橋、そして虹橋の下を潜り霞ヶ池へ、その長さは574mだそうです。



(板橋辺り・在原業平が詠って場所三河国八橋を模した板橋)


(曲水が整備されたのは、12代藩主斉広公が文政5年(1822)に竹沢御殿造営した時といわれ、はじめは山崎山から七福神山へ、後に、竹沢御殿を取り壊し、霞ヶ池を掘り広げ、曲水を大きく湾曲する流れに整備したのは、13代藩主斉泰公でした。)



(花見橋より)


杜若(カキツバタ)は、曲水の3分の1に当る約190mの両岸に1万株4万本が植えられています。植え込みは花見橋から板橋を経て千歳橋までと旭桜の袂の橋から虹橋の少し上流の小さな滝まで、七福神山辺りには杜若はありません。七福神山辺りは、ほとんど竹沢御殿造営時のままといわれ、曲水の護岸は石が組くまれ、雪見橋や雁行橋、雪見灯籠、蹲踞石などが配置され、千歳台に変化のある景観を創り出しています。(「巣ごもりの松」の下の灯籠は後のものらしい)


(七福神山)

(雁行橋辺りから曲水から千歳台を望む)


(七福神山は、七福神に見立てた自然石を配してあることから、この名が付けられたそうで、福寿山ともいうそうです。自然石は、恵比寿、大黒天、寿老人、福録寿、布袋、毘沙門天、弁才天になぞらえたともいわれ、中央にある主木の赤松は、鶴が巣をつくったことから、「巣ごもりの松」とも呼ばれています。)



(七福神によく似た自然石)


兼六園の庭園内には、縮景という琵琶湖や親不知などの名勝を縮小して写したものや、「石橋(しゃっきょう)」のように、謡曲の情景を見る者に連想させる仕掛けがありますが、「杜若(かきつばら)」も謡曲の三番目物で在原の業平所縁の「旅僧と杜若の精の話」の縮景だそうです。




(園内の杜若)


この時期、花を愛でながら、いずれ菖蒲(アヤメ)か、杜若(カキツバタ)と迷っているうちに、謡曲「杜若」に出てくる夜明けと共に消え失せた美女の姿がよぎるという、粋な仕掛けなのでしょうか・・・。





(園内の杜若)


夜明けといえば、兼六園の杜若(カキツバタ)は、開花の時ポンと音が出るといわれていて、例年、薄暗い夜明けの開花時に曲水の辺には待ち焦がれる人の姿が見られます。音が聞けるかどうかは知りませんが、耳を澄ませて水辺で待つのも楽しみのひとつです。私も何度かやりましたが、根気が無くて諦めてしまいました。


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