Quantcast
Channel: 市民が見つける金沢再発見
Viewing all articles
Browse latest Browse all 876

金沢市老舗記念館② ― 今昔

$
0
0

【長町武家屋敷界わい】
金沢市老舗記念館に、金沢の観光施設では珍しいフランス語版のパンフレットがあります。当然、私にはフランス語が読める分けではないので、教えて戴いて気付いたのですが、こちらは、あの「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に1つ星に選ばれていて、その事を地元の観光ガイドでありながらすっかり忘れていまいした。


(金沢市老舗記念館店頭より長町界わい)


(こちらには日本語はもちろんですが、フランス語、英語、韓国語、中国語、台湾語の6種類のパンフレットが用意されています。)




(フランス語と英語のパンフレット)


「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」には、国内には3つ星が56カ所、2つ星が189カ所、1つ星301カ所が選ばれているそうですが、石川県では、3つ星の兼六園を筆頭に、2つ星の金沢、金沢21世紀美術館、武家屋敷跡野村家(金沢市)、キリコ会館(輪島市)についで、金沢市老舗記念館は、ひがし茶屋街、大樋美術館、長町とともに16ヶ所ある1つ星にランクインされています。




(記念館の新旧の建物)


(「ミシュランガイド」は、私がいうまでもなく、1900年に、世界的なタイヤメーカーであるミシュランによって安全・快適に遠くまでドライブを楽しむための情報をまとめた小冊子としてフランスで生まれたそうです。)





(記念館の展示)


その一方、移築前のこの建物は、明治11年(1878)に、明治天皇行幸の際に御在所とともに建築され、大正8年(1919)改築されたものです。元々天正7年(1579)に中屋彦兵衛が薬種業を始め、藩政初期から南町に店舗を構えた代表的な老舗で、特に5代藩主綱紀公から御殿薬の処方を拝領しています。




(今の南町・昔の中屋薬舗の場所)


(道具類の展示)


(維新後の中屋家は、藩政期以来の紫雪、烏犀円、万病円の製造は不許可となり、混元丹、赤龍丹、腎心丹、赤薬、安神丸のみ許可となるなど受難時代を迎えますが、九谷焼を世界に広めた円中孫平氏の尽力で明治9年(1876)残る10種が許可となっています。)



(6種類のパンフレット)


中屋家の先祖は山城の国の出身で戦乱の中、落武者となって加賀の国の戸室山の麓に居をかまえ、代々伝えられた家伝の薬を村人に分け与えていたところ評判がよく買い求められたといいます。中屋家では医王山や近隣の野山で採れる薬草を販売する傍ら、代々伝えられてきた家伝薬・混元丹の製造販売を始めています。



(茶室)

(庭園)

(今の中屋彦十郎薬局のパンフレット)



(今の中屋彦十郎薬局の香林坊の店頭)


その後、藩政期前の金沢御坊の町地に出て薬種商を始めています。前出の通り寛文年間(1661~1673)には前田綱紀公より前田家伝来の加賀三味薬といわれる紫雪、烏犀円、耆婆万病円の製造販売が許可され前田家御用商人として薬種販売のかたわら昆元丹等の製造販売も続けられています。また、藩政期には町奉行所から町年寄を拝命し、享保、宝暦、寛政と60数年に渡って務めています。事業は、現在も場所を変え継承されています。




(道具類などの展示)


(最近のニュースとしては、中屋家が所蔵していた道具は金沢市で保管され、平成25年(2013)3月12日に県内で初めて国の登録有形民俗文化財になりました。材料を砕いて丸める薬を造るなど製造用の道具775点と、薬棚や宣伝用看板などの販売用の道具類292点の計1,067点があります。)


(つづく)


参考文献:金沢市老舗記念館・中屋彦十郎薬局のホームページなど
http://www.kanazawa-museum.jp/shinise/top.html
http://www.kanpoyaku-nakaya.com/index.html


Viewing all articles
Browse latest Browse all 876

Trending Articles