【金沢ひがし】
昨日、誘われて高山の「左官技能士挟土秀平氏とめぐる日帰りのバスの旅」に出掛けました。最近忘れっぽくなっていますが、挟土氏については、8年程前にNHKのプロフェッショナル「仕事の流儀」を見たのを覚えていて2つ返事の参加でした。
(ひかり蔵を見る参加者)
(今回の旅については、一・二日前からバタバタしていて集合時間と高山だけが頭にあり、スタートがひがし茶屋街の「ひかり蔵」からだという事を見落としていました。見落としたのはそれだけではなく何時も出入りしている「ひかり蔵」が挟土氏の手がけた仕事だという事も知らなかったのですから、只々恥じ入る次第です。)
金沢駅でバスに乗ると、早速、挟土氏はマイクを握られ持論が始まり、日本に期待する欧米人の好みや仕事の苦心談、失敗談も飛びだし、また、仕事に対する思いやご本人の人と為りの一旦を感じさせる言動に期待感が膨らんできました。
(挟土氏によると欧米人が日本に期待しているのは、一般的には繊細なものだと思い勝ちですが、意外とザックリしたもの、土っぽいものだそうで、挟土氏の仕事もアメリカやフランスからの依頼があり、今日もこの後、東京経由でフランスへ旅立ちのだといわれていました。)
「ひかり蔵」については、10年前、独立して3年目の仕事だそうで、従来、金箔は木か紙に貼るのが常道であるのに、漆喰の壁に土の質感を残して、しかも枯れた金を表現しようというもので、誰も手がけた者がいない仕事だったといいます。
挾土氏は、左官の仕事が専門で、金箔貼りは、高山の仏壇職人に任せる分けですが、強引にサンプルを置いていかれたという仏壇職人によると、はじめ「この仕事は無理!!」と思ったそうですが「漆喰の鏡面仕上げ」の素晴らしいサンプルを見て職人魂に火が付き、貼るための試行錯誤を続け、時には直射日光に当たり、水をかけたり等など、何十回も実験を重ねたそうです。
金箔土蔵の内壁は、沖縄の藍の土壁で仕上げ、挾土氏がわらで模様をつけ、その上に樹脂の接着剤で金箔を貼り、余分な金箔はハケで落としグラデーションにすることにより、上に登っていくにつれて消えていくというもので、下から光を当てると幻想的で、炎が天に舞い上がるイメージで仕上げたのだといいます。
(ひかり蔵の建物)
その作業については、過去に参考になるものもなく、2回やり直すなど難しい作業だったといいます。また、朝から夜まで、投光器の中、長く金色の土蔵の中で作業をしていると、金の持つ魔力に頭がおかしくなるくらいだったといいます。
土蔵の外側は、金箔の継ぎ目の縦と横を揃えるという、いわゆる金箔貼りの難しい技が要求されたものでプラチナ箔が用いられています。手がけた仏壇職人のブログによると、現場では、金の魔物に付きまとわれ、苦労も多かったが120点の仕上がりになったと語っています。
参考資料:「仏壇工芸ほりおのブログ」http://horio.hida-ch.com/e93701.html
加賀藩交流事業「挟土秀平とめぐる飛騨高山「アナザーワールド」参加メモより