【高山市、丹生川町板殿→滝町棚田】
高山ではじめに訪れたのは丹生川町板殿(にゅうかわちょういたんど)にあるめずらしい蒸籠蔵(せいろぐら)です。蒸籠に組んだ板に栗の木釘をうって縄をまき付け上から泥を塗ったもので、塗も泥をぶつけた荒打ちのままの土蔵です。8年前に挟土氏がNHK「課外授業ようこそ先輩」で後輩たちと一緒に作業をした「笑う泥壁」です。
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(笑う泥壁・指の跡が笑い顔に見える)
(蒸篭蔵は、古い形態の穀物倉で、飛騨で余り例がない珍しい倉だそうです。正倉院の校倉(あぜくら)造りと同型で、梅雨時の湿気が多いときは木が膨張して木と木の間をふさぎ、湿った空気が入るのを防ぎ、空気が乾燥すると隙間ができて、内部の風通しがよくなって乾燥するようになっているそうです。)
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(蒸篭蔵)
道中、バスで見せて戴いたNHK「課外授業ようこそ先輩」は、2006年9月23日に放映されたもので、挟土氏が母校の高山市立北小学校へ赴き、後輩の小学生たちと、切り藁をまき、泥を踏み、団子をつくり、土づくりと壁造りを通して、一つ一つ、どう見ても弱い素材の藁や土、砂でも集まり鍛えられ塩梅次第で、何十年にわたって家を支える強い壁になるとことを知り、テーマ「弱いものが集まって強くなる!」を体感するという映像でした。
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(約60年前の泥壁の下半分を8年前小学生と補修)
(映像には、小学生たちが小さな足で泥を踏みつけ、小学生と大人が並んで泥でダンゴを作り、手渡し、板壁に貼り付け、打ち付ける等など、私も映像から伝わる楽しい雰囲気を見て、昔聞いた山里の“結”の様子を想像していました。)
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(蒸篭蔵)
次の訪問地は滝町棚田の「天空の棚田茶室(独坐観念の茶室)」です。滝町棚田は、乗鞍岳をのぞむ天空の棚田(標高795m)で、挟土氏が尊敬する故中屋栄一郎氏が平成9年(1997)に棚田保全活動を開始し、平成12年(2000)保存会が発足したものだそうです。
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(滝町棚田の地図)
現在は、棚田の中腹にバッタリ小屋と呼ばれる昔の穀物精米小屋が2軒並んで建っていました。1軒は中屋氏が住み、もう1軒は茶室になっていて、真新しい畳が敷かれ床の間には「独坐観念」のお軸が掛けられていました。病に冒された中屋氏が望まれ、挾土氏が設えたもので、外観からは想像もつかない世界が広がっていました。
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(茶室)
井伊直弼の著作「茶の湯一会集」の中に「一期一会」の続きが「独座観念」だと書かれているそうです。
(独座観念とは、お客様が見えなくなるまで見送ったあと、再び茶室に戻り、炉前に独座して、お客に心を向け、一日の茶会を振り返りながら独服する。このような心持ちが実践できて、はじめて茶会が完成するというのである。ということだそうです。)
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(バッタリ小屋辺りにて)
少し長くなりますが、中屋栄一郎が書き残したものをネットで見つけたので、そのまま転載します。
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(アルバムの中の中屋氏)
乗鞍岳をのぞむ、雪に埋もれがちな岩滝地区で百姓である私はいつまでもどこまでも黒い土を耕し、土を愛し、万物の生育に賛じて、だまって生きていくべきと信じている。鍬の人であり、働く者と信じている。
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(バッタリ小屋より天空の棚田)
近年、岐阜大学の堀内先生から雑穀について、松本先生には郷土愛を教わり、そして、冬の伝統行事二十四日市に市民企画でかかわる飛騨高山まちづくり本舗のスタッフと出会い、「耕す」「食す」「育つ」「結う」のテーマが連動しはじめた。
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(中屋氏のバッタリ小屋)
これまで元気にやってこられた百姓観。このテーマに出会ってから先祖代々大事に受け継いできたこの棚田は、未知なる何かが生まれる可能性のある場としての想いを強くした。私ができることは、棚田で鍬をふるいながら、山川草木とともにあるくらしの恵みや知恵をこどもたちや若い世代とともに享受し伝えること。今まさに「土に叫ぶ」こんな大それた気持ちを抱くにいたっている。
「飛騨の棚田」より
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(棚田の茶室(左))
挟土秀平氏は1962年高山市生まれ。1983年技能五輪・左官部門で優勝。バブル全盛期、左官の頭として現場で陣頭指揮を執り、セメントによる巨大ビルを次々と手掛ける。しかし、故郷・高山の土に出会い、土の力を活かす左官本来の在り方に目覚める。以後、土の採集・研究を重ね、土にこだわった壁作りに取り組む。アーティスティックな作風により“土のマジシャン”と呼ばれ、文化財の修復から首相官邸、モダンなバーやレストランの壁まで創作活動を広げている。(NHKの紹介記事より)
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(天空に向う火男(ヒョットコ)橋と山道)
参考資料:加賀藩交流事業「挟土秀平とめぐる飛騨高山「アナザーワールド」参加メモより・「飛騨の棚田」よりhttp://www.asaichi.net/~nakaya/html/01_negai/sakebu.html