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Channel: 市民が見つける金沢再発見
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金沢の炬燵(こたつ)文化

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【金沢】
“鉛色の空”“鰤起こし“とくれば、この時期、金沢では”炬燵(こたつ)“が定番中の定番です。金沢を含む北陸は、決して極寒とはいえない土地柄で、昔から暖房についても、火力が強くて部屋全体を暖めるストーブより、炬燵(こたつ)一つで、風邪も引かずに冬をすごすことが出来ました。



(金沢の鉛色の空)


最近、私の子ども達世代では、大して寒くはない金沢の冬でも、適応力か時代の流れかストーブに頼らねば、身を保てなくなり、炬燵(こたつ)だけでは冬を乗りきれずストーブとエヤコン、炬燵の併用かストーブだけで冬をすごすようになっていました。




(最近は炬燵よりストーブやエアコン)


(近年、我が家でも11月になると炬燵(こたつ)を出し、寒い日にはエアコンをつけ、12月には完全に石油ストーブと併用で暖をとっています。どうも歳のせいだけとはいえず、高度成長以来、贅沢が身に付き、適応力が低下した結果ということなのでしょう。)



(炬燵(こたつ))


先日、昭和52年(1977)に書かれた金沢の浅香年木氏の本に、炬燵(こたつ)の記述があり、以下、引用しますと、「思えば、炬燵(こたつ)ほど、北陸人にふさわしい暖房手段はなかった。それは、暖をとる用具であると同時に、語らいの場であり、何よりも、思索の「育ての親」であった。しんしんと静かに雪の降る夜。1人、炬燵(こたつ)に入って、ものを考え、ものを書き、ものをつくる。そこに、北陸の個性があったといってよい」と書かれてあり、思い当たることも多く、いろいろ思い出されます。



(浅香氏の「北陸の風土と歴史」)


浅香年木氏の記述では、北陸からの数多くの人材の輩出は、炬燵(こだつ)が育てた!!と書かれ、ストーブやエアコンからは、北陸の風土にあった、深い思索も、心をうつ創作も、生まれ得ないように思えてならない。とも書き、金沢及び北陸をふるさとにもつ、宗教や思想、学問や芸術分野の有名人が書かれています。



(金沢の三文豪)


金沢では、金沢の三文豪といわれた、徳田秋声、泉鏡花、室生犀星に、哲学者として知られる西田幾多郎、鈴木大拙、越後に育った合津八一、小川未明、相馬御風などがあげられていました。



(炬燵(こたつ)は昔も今も北陸の文化)


そして、北陸の風土が育んだ「炬燵(こたつ)文化」を北陸人が継承し伸ばしていかねばならないと提言されています。昨今(昭和52年ごろ)の風潮について、資本の理論の押し付け、風土を無視した、お仕着せの商品に囲まれ、企画化されてしまった生活、それは、北陸人が北陸人でなくなることであり、北陸人の健康をむしばんでいくだけだと、警鐘を鳴らしていました。


(先日病院の検査の待ち時間にと思い、以前に神戸の知人から送られてきた1997発行の古厩忠夫氏の「裏日本」を持って行きました。検査は思った以上の待ち時間で、読み進めていくと浅香年木氏の「北陸の風土と歴史」が引用されていました。「北陸の風土と歴史」は、最近買った古本の中にあり、時々、炬燵(こたつ)にはまり読んでいます。)



(古厩忠夫著「裏日本」)


2冊とも古い本ですが、読んで良かった!!と・・・。改めた神戸の旧友に感謝。そして病院では検査終了。何事もなく家路へ・・・。



参考文献:「裏日本」古厩忠夫著1997・岩波新書・「北陸の風土と歴史」浅香年木著1977・山川出版社ほか


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