【金沢・東山】
報告が遅れてすみません。1月18日(日)ひがし茶屋街休憩館で、毎年1月の恒例行事「金沢の伝承遊び旗源平の集い」が開催されました。例年、この時期は雪と寒さから人出も少ないので、今年は観光客の多い日曜日に開催することにしました。当日はめずらしく快晴で朝から茶屋街へ行く観光客も多く、朝一番は何とドイツからのお客様でした。台湾の人も来て、お陰さまで大盛況、午後2時ごろには準備したお茶菓子が全て無くなってしまいました。
(朝の準備、ひがし茶屋街休憩館)
(最初のお客様はドイツの二人)
昔、金沢のお正月は、子供が集まると源氏と平氏に分かれ、二つのサイコロを振り、出た目で旗の取り合いをする旗源平は子供たちにとって待ちに待ったお楽しみで、子供のいる家では、どの家にも旗のセットが揃っていました。
いつの頃からか廃れてしまいましたが、近年、金沢ならではのこの正月の遊びを伝承しようと公民館の行事などに取り入れられていますが、まいどさんでは、観光客と地元の人を繋ぐコミュニケーションゲームとして開催しています。
まいどさんでは、旗源平を開催するにあたり、纏、旗、サイコロ、それから座布団、茣蓙、湯飲み、照明など道具や設えの準備が必要ですが、それら全ては会員が準備し、中でもそのほとんどが会員の奥田孝子さんの私物でまかなっています。彼女には、道具を提供するだけでなく、企画から当日の采配まで全てをやって戴き、我々、まいどさんの活動部会は、おんぶに抱っこといったところです。
廃れかけて随分経つので、纏や源平の旗は予約販売で直ぐには手に入らないらしく、立派なものなると数万円の特注だそうです。今回もお飾りとして、正面に飾りましたが、奥田さんが頼まれて行く出張開催では、そんな希少で高価ものとは知らない子供の中に、纏を振り回すものですから今はお飾りにして、ゲームは普及版を使うようになったそうです。
以前にも書きましたが、加賀藩では、国を護るため、隠れ蓑として能や茶道、美術工芸など文化政策を前面に出し、しかし、一朝ことある時に対処出来るように、例えば、武士の足腰を鍛えるため鮎つりを武家だけのものにしたり、庶民に獅子舞の稽古と言いながら、秘かに武芸の稽古をさせたり・・・、子供の遊びの「旗源平」も、それらと同じとは言わないまでも、“そうかも”と思わせる加賀藩らしさが窺わせます。
(金沢の「旗源平」は、「治にて乱を忘れず」といわれるように子供の遊びにおいても武士の本分を忘れないという、今風にいえば「平和ボケ防止」ということなのでしょうが、先人の思いが込められた金沢ならでは正月行事です。)
(お茶のおもてなし)
数年前、北陸新幹線開通の対策についてのフォーラムか何かで、昔の金沢の遊びを広めたいといって、東京のプランナーにそんなことは枝葉末節で大した事ではないと、たしなめられました。そこで発言するのは一寸筋違いだったかも知れませんが、私たちは、この遊びを絶やしたら我々世代の責任だ!!と思っているくらい金沢の大切な文化だと思っています。
治にいて乱を忘れず―旗源平