【黒部市】
黒部は隣の県ですが、黒部渓谷、黒四ダムという認識しかなく、昔、何回か行ったことのある宇奈月温泉が10年も前に合併したことすら知らなかったのです。現在、黒部市の町域は随分広く、南東は飛騨山脈の端、白馬岳の鹿島槍ヶ岳、北西部は石田、生地、三日市の市街地になります。
黒部市は、何といっても、ファスナーから建材まで、世界70カ国(地域122社)に拠点を持つ日本の大手非鉄金属メーカーのYKKの大生産拠点です。
(最近のニュースによると、「北陸新幹線が開業すれば日帰り圏内だ」ということで、北陸新幹線の開業により人員の再配置を実施され、東京にはグループの社員が1200人程度いたそうですが、約2割が黒部事業所に移り、こちらでの意思決定の役割も一部担うことで、東京への機能集中による大規模災害発生時のリスクの軽減を図るのだそうです。)
(2015.10.26北国新聞記事)
もともとYKKにとっては、黒部は創業者の出身地で、戦後、工場を置いた土地です。今も開発、生産部門の本拠地でもあり機能の移転は比較的やりやすいそうですが、都会暮らしが長い人も多く地方暮らしは大変でしょうし、子供の教育のことや、都会育ちが多いご夫人方に敬遠され、単身赴任を選ばざるを得ない社員もいると聞きます。
(YKKでは、黒部駅近くに250戸が入居。保育所や商業施設も備えた省エネ型集合住宅「パッシブタウン黒部モデル」を建設し、全8街区にすべて違う設計を取り入れ、建築家の個性を競わせる予定だそうです。断熱性が売りのサッシも手がけるYKKグループにとっては、省エネ住宅に注目が集まるのは歓迎すべきこと。従業員の福利厚生と企業イメージアップの一挙両得を狙ったアイデアと言えそうです。)
(黒部市観光マガジンより)
今回、「観光ボランティアガイド北陸大会IN黒部」の会場になったのは、富山県で唯一、建築学会賞を受賞した建築物「黒部市国際文化センターコラーレ」のカーターホールでした。「コラーレ」というのは、富山弁の「こられ」(いらっしゃいませ)からだと思われますが、カーターホールの名称は、アメリカの39代大統領カーター氏によるもので、ホールのエントランスには、カーター氏の名前やメッセージが表示されていました。
(カーター氏の表示板)
経緯については、YKKの創始者とカーター氏が親しかったことが縁で、黒部市民とカーター氏とのタウンミーティングが行われ、その中で、コラーレについての説明と併せて、このホールにカーター氏の名前を刻むことが、市民から申出、氏が快諾されたということだそうです。
大ホールは886席の立派なもので、それを包み込むような「黒部市国際文化センターコラーレ」には様々な施設が付帯されていました。庭には大きな池が広がり北アルプスの山々に冠雪が見え、延床面積9,010㎡の建物は、大ホールのほか、マルチホール・展示・レストラン・図書・学習・工房・和室、さらには茶室・能舞台等で構成された-ある種の都市-と言える複合文化施設で、失礼ながら人口約4万人の都市の文化センターとしては恵まれた施設のように見受けました。
因みに「黒部市国際文化ホールコラーレ」の開館平成7年(1995)11月3日、総事業費約65.9億円、日本建築学会賞(作品)・アルカシア賞ゴールドメダル・照明普及賞・日本計画行政学会計画賞を受賞していて、設計者は新居千秋氏だそうです。
(黒部市観光マガジンより)