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大本山永平寺③禅の欧米化?!観光化!!

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【福井県・永平寺町】
欧米で1960年代から70年代にかけて、「Zen」への関心が急速に高まります。当時、ベトナム戦争への反対運動が高まり、アメリカに登場したヒッピーと呼ばれた若者たちで、物質万能主義に疑問を抱き、精神世界に関心を向け、既成の価値観からの離脱を訴えたことからだといわれています。

 

 


日本禅のアメリカ進出については、臨済禅の居士鈴木大拙と曹洞宗の僧侶鈴木俊隆は「2人の鈴木」として、よく知られていていますが、他に曹洞宗の僧侶乙川弘文(旧姓知野)がいます。若い頃、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズが禅に魅せられ毎日のように乙川師のもとに通い、2~3ヶ月に1回は禅堂にこもって瞑想を行うなど、できるかぎり師と長い時間を過ごすようになったといいます。

 

(僧侶乙川弘文は、昭和43年(1967)に曹洞宗の僧侶鈴木俊隆が日本から呼び寄せた人物だそうです。)

 

 

 


曹洞宗では、「師匠と弟子」という人間関係が重視されているそうです。永平寺では道元の教えや修行がほぼそのまま伝えられているそうですが、今や曹洞宗系の寺院や禅センターは世界中に広がっていて、坐禅をする理由として鈴木俊隆は「直接の経験として実在を把握すること」をあげています。ここでいう「実在」とは「今、ここにおける、一瞬一瞬のありのままの姿」を指すそうです。

 


ジョブズは「自分の感情、自分の心に正直で、なにも隠さず自分自身を表現する」と言っています。そうすれば、聞いている人も容易に理解出来るはずだと。ジョブズの死後、アップル社の元日本人社員だった人の証言に「ジョブズは、机上の空論ではなく、あくまで自分の体で製品のあるべき姿を探っていく人でした」と言っています。


永平寺では夏は朝3時10分起床、夜9時に就寝するまで、読経や坐禅はもちろん掃除や食事も修行で、そのすべてに意味があります。禅の修行は「何々をしながら」ではなく、食事をする時は食事を、坐禅は只坐禅を、肉体と精神は一体。身体が先に行えば心はそれについてくるという教えです。

 

(坐禅をすると脳波にリラックスした時に出るα波が現れ、何か心に浮かぶことがあっても、直ぐに消え、煩わされることはないのです。毎日、やるべきことに対して集中すること、「初心」をもって、今の一瞬一瞬に没頭すること、そこからなにかを得ようとしたり答えを求めたりせず、ただただ行う修行、行動、活動そのものが禅なのでしょう。)

 


≪観光と永平寺≫
観光的な禅体験からは「悟り」は、ほど遠いと思いがちですが、悟りは自分一人で行えるもの、こうした体験は外国人観光客、特に実業家、経営者を惹きつけるのではないかと見られていて、国際会議などのアフタープログラムとして、永平寺の参禅体験は魅力的で、ジョブズも憧れたと言う、770年間不変の禅を体験してもらうことは「日本ファン」作りにもつながるのではと思われます。

 


≪永平寺門前の再構築に官民連携による地方創生≫
東京の森ビルが、福井県、福井県永平寺町、永平寺の3者が連携して実施する「永平寺門前の再構築プロジェクト」に参画すると伝え聞きます。基本計画策定後も、3者がそれぞれ実施する整備事業を総合的に支援するそうで、平成31年(2019)のプロジェクト完了を目指すそうです。プロジェクトでは、観光名所である大本山永平寺の集客力の向上を目指し、外国人観光客にも対応できる宿泊施設の整備、1600年代の古地図に基づき旧参道の再生、旧参道との一体的な永平寺川の修景、ゲートウエーとなる観光案内所などの整備など4件の整備事業に取り組むそうです。

 

 

 


(4プロジェクトの総事業費は約23億円となる見込みで、宿泊施設の整備と旧参道の再生は永平寺が、永平寺川の修景は福井県が、観光案内所などの整備は永平寺町がそれぞれ整備し、15年度に48万人だった永平寺の参拝者数を5年間で65万人に、10年間で80万人に増やす考えだそうです。)

 

 

森ビルは、これまで東京都心部の大規模再開発事業などで培ってきた街づくりのノウハウを活用し、プロジェクトを総合的に支援し、平成27年(2015)6月11日に、永平寺町とも「まちづくり基本協定」を締結しました。

 


≪福井県観光新戦略より≫
一方、福井県の平成25年(2013)観光入込客数は1034万人。その年、福井県を訪れた観光客は関西地区42.0%、中京地区27.1%、北陸地区17.3%、関東地区6.6%と、関東地区からの入込の少なさが原因の一つで、国内観光の弱さが外人観光の弱さに反映されていと言えます。

 

(平成25年(2013)県がまとめたデータによる県内主要観光地の比較では、一乗谷朝倉氏遺跡が67万人、県立恐竜博物館73万3000人、大本山永平寺(永平寺町)48万1000人。断崖絶壁の奇勝「東尋坊」重要文化財八城の一つ「丸岡城」。食では「越前カニ」など、多くの魅力的な観光資源があります。)


参考資料:http://matome.naver.jp/odai/2138976758298997201・森ビル株式会社・平成27年3月の福井県観光新戦略ほか


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