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足軽の暮らし②

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伝説・伝承
【金沢】
足軽の俸禄の支給は、算用場から「切手(手形)」を年2度に分けて給付する「切米」と呼ばれる方式でした。1~9月分の俸禄12俵を3月(春渡し)3月~12月分の俸禄13俵を11月(暮渡し)といった具合です。この切手は、藩直営の堂形(米蔵)「今のしいのき迎賓館」や新堂形(米蔵)「今の兼六園駐車場」や町人の経営する蔵宿(米商)などで、必要な時に米やお金に変えることができました。足軽たちにとって、その俸禄は十分なものではなく、日々の暮らしは内職で補っていました。

 

(堂形跡・しいのき迎賓館)

 

              平足軽 小頭 (加賀藩は1俵5斗入り)
大組・中組  25俵 35俵
先手組       20表 30俵


江戸時代の米の年間消費量は、一人当たり約2俵(1石)と言われています。例えば、大組に所属する平足軽の年収は25俵程度の俸禄ですが、その一家(6人)が、一年間に主食として必要とした米の量は12俵(6石)となり、実に年収の半分ほどを占めていたのです。このような中、主食費以外の生活費を確保するため、足軽たちは、仕事の合間に家族そろって内職に励んでいました。

 

(足軽の生活)


文化・文政

通貨基準金:1両=100,000円 銀1匁=1,700円 銭1文=20円

 

品名            藩政時代の物価      現代の物価
米一升                         32文              640円
酒一合                           8文              160円
かけそば一杯                16文              320円
初カツオ一匹      2~3両  200,000~300,000円
髪結い                          32文           640円
先頭入浴料                4~8文       80~160円
「南総里見八犬伝」           3両        300,000円
絹羽二重フンドシ一本     18匁          30,600円
羽織り繕い賃                 40匁          68,000円
大工工賃(一日)          4匁2文           7,140円


(江戸時代の通貨は「金・銀・銭」が中心でしたが、加賀藩では「銀・銭」が主な通貨でした。)


足軽の内職:公務のないときは、家で家族と内職に励むというのが足軽の日常生活でした。加賀藩の足軽たちのおこなった主な内職は、お盆用の切子灯篭・台切子、お盆が過ぎると正月に飾る天神様の燈籠・練雛や土雛に彩色したもの、あるいは張子の虎や福助、起き上がりなどの玩具を作ることでした。

 

(足軽資料館)

 

足軽の服装:御歩(おかち)以上の武士は、「着流し」を許されていましたが、足軽は公務にあたる祭、常に袴を着用しなければなりませんでした。


例えば、門番や警備をする時は、法被と単で三ツ山形が染め抜かれた山袴を着用していました。しかし、日頃足軽たちは、機敏な動きができるよう「尻端折り」と呼ばれる、袴のすそを高くまくり上げた格好をしていました。真冬でも股引きなどは履けず、足をむき出しにしていなければならなかったのです。足軽にも身分の上下があり、平足軽はたいてい腰に刀を一刀、小頭は二刀差していました。

 

法被・山袴:足軽が門番や警備をするときの服装
尻端折り:一般的な足軽の服装
着流し:足軽より身分の高い武士の日常着
肩衣・半袴:平常勤務や訪問時に着るお目見え以上の武士の礼服
裃長袴:江戸城へ参勤する時の礼服

 

(寺町・クミヤシキ、組ヤシキとあるのが足軽組地)


加賀藩の武士階級:前田家の家臣団は、最高の階級である「八家」を筆頭に、武士として認められる最下位層の「足軽」にいたるまで、全6階級に区分されていました。家柄の上では、藩主に直接お目通りできるものと、お目通りを許されないものとに分けられ、俸禄の上では「知行取り」といって、土地を与えられる平士以上と、現米で給付される「切米(扶持米)取り」とに分けられました。このような階級は、武家社会すべてを規制し、屋敷の広さ・構え、家来数、家族の呼称まで異なっていました。

 

(つづく)

 

参考資料:金沢市足軽資料館等


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