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勘太郎川①笠舞用水!?

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【石引1丁目→鱗町】

現在、勘太郎川と言われているのは、起点が石引2丁目の風月堂の横から、かっての波着寺の塀沿いに流れる辰巳用水の分流が「ぢごく橋」の下から崖下にある旧一本松で、上(かみ)から流れてくる旧笠舞用水(現長谷川排水路)と合流し勘太郎橋を潜り、思案橋から鱗町で鞍月用水に合流する1,4kmをいいます。

 

 

 (勘太郎川の起点・石引の風月堂)

 

「ぢごく橋」は「樹木橋」!?

http://ameblo.jp/kanazawa-saihakken/entry-12285108421.html

 

 

(大正6年の稿本金澤市史の地図・中石引から一本松の水路が描かれていない)

 

この勘太郎川は、どうも平成に入って「金沢市が用水保全条例」を施行するにあたり、史料や資料、聞き取りを基に定義付けられたもののように思われます。それ以前は、前にも書きましたが、用水の起点は善光寺坂下の大清水(おおしょうず)と辰巳用水の分流で天徳院が起点になる旧笠舞用水(長谷川排水路)の2説が有ります。

 

(平成15年市から発行された地図・勘太郎川の起点が大清水になっている。)

 

大清水は、藩政期から昭和11年(1936)まで石川郡であるため昔の地図で調べることは出来ませんが、前にも書きましたが起点とは言いがたい、天徳院を起点とする旧笠舞用水は、藩政期から現在の勘太郎川も含めていわれていたらしく、大正6年(1917)発行の「稿本金澤市史」には、勘太郎川という名は書かれていませんが辰巳用水の分流として書かれています。(地図には水路が描かれていません。)

 

 (大清水)

 

大清水(おおしょうず)と勘太郎川??

http://ameblo.jp/kanazawa-saihakken/entry-12284426761.html

 

藩政期から少なくとも大正6年(1917)まで(昭和に入っているかも?)は、笠舞用水といわれていたようで、その水路は下記の通りだったようです。

 

小立野新町字亀坂→白山坂の下→虹橋一本松の西南に沿い→新坂→上本多町2番丁→百姓町→中本多町4番丁→鱗町から鞍月用水に合流。

 

 

 

(辰巳用水・天徳院側より)

(亀坂下の谷)

(分流が暗渠になっている旧長谷川町)

(虹橋辺り)

 (一本松)

 

以前にも書きましたが、現在の旧笠舞用水は、行政では勘太郎川1,5km長谷川町排水路0,7kmに分かれていますが、一般には当然、近くの人にも、その名は余り浸透していないようです。行政では何か意味や理由があって、そうしたにでしょうが、PCで幾つかのブログを見ると、両方まとめて「勘太郎川」とし、書かれているものが多いようです。

 

しかも藩政期から昭和までの史料や資料には、勘太郎川と言う名前は見当たりません。見落としもあるかも?藩政期から明治、大正、戦前の昭和も調べましたが、例えば「加能郷土辞彙」「金澤古蹟誌」[稿本金澤市史」にも「勘太郎橋」が有っても「勘太郎川」は記載がありません。最近のブログには、それでも勘太郎川の伝説として「かつて石引地内に勘太郎という人物が住んでいたことからこの名がついたといわれていますが定かではない・・・。」と、勘太郎橋伝説」とよく似た伝説が一人歩きしています。

 

   (勘太郎橋) 

 

どうも、”勘太郎川の名称”は、平成に入ってからように思えてなりません??

 

[参考]

「用水保全条例」:金沢には犀川や浅野川を源とする用水(川)は、55筋、総延長約150kmが流れていますが、藩政期には、戦略、物流や灌漑用水として大切に使われていて、延宝図や以後に発行された絵図には、詳しく描かれていますが、今は、その役割を終え、原型を留めていないところもありますが、今も、清らかな流れは人々の暮らしの中に息づき、街並みに独特の風情を醸しだしていて、金沢市では平成8325日に条例第7「用水保全条例」を制定し保全に力をいれています。

 

 

 (用水の変遷)

 

 

用水の保全とは?金沢のまちなみに様々な表情を醸しだし、潤いとやすらぎを与えてくれる用水。それらを大切に守り育てて、身近な生活環境をより快適で、より安全で、より豊かなものにし、後代に継承してゆくための「用水保全条例」を定めたそうです。

 

[基本方針]

市街地の発展に伴い、さまざまな問題が発生している用水の現状。再生への取組みがはじまっていますが、それには市民一人ひとりの協力が不可欠です。

用水景観:歴史的なまちなみや繁華街の賑わい、閑静な住宅街、緑豊かな自然環境との調和を図ります。

開きょ化:必要以上に幅の広い私有橋の撤去や狭小化を図り、通行以外の目的には使用しないように努めます。

清流確保:年間通水を確保し、定期的な清掃を行い清流の確保に努めます。また、水生生物の生息に配慮した用水環境の形成に努めます。

用水利用:消雪水路や消火用水源としての利用を促進します。また、用水沿いの散策路や親水公園などの整備を促進します。

 

(現在の勘太郎川周辺の用水の名称)

 

その1次指定が平成9年(1997623日に辰巳、鞍月、大野庄、寺津、泉、中村高畠の6用水など5用水が指定され、2次指定は長坂、小橋、中島、金浦、旭の4用水が、3次指定で、九人橋川、母衣町川、源太郎川、勘太郎川が、平成12年(20001221日指定されています。

 

(つづく)

 

参考文献:[金沢の用水・こばし」調査報告書 前期 金沢市教育委員会 平成123月・[歩いてみまっし用水の街『金沢』」金沢市 平成156月など


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