【金沢・丸の内】
白鳥路は、昭和59年(1984)に整備され「水と緑と思索の道」と命名された散策路です。現在、百間堀口には「前田利家公の銅像」。道沿いには「三文豪像(室生犀星、泉鏡花、徳田秋声)」をはじめ21体もの彫刻が行き交う人を出迎えてくれます。
(白鳥路の百間堀口から石川門)
(白鳥路の入口・前田利家公の銅像(竹下慶一作)
(当時、北國新聞には「三文豪のブロンズ像完成 白鳥路で28日除幕」の見出しで、金沢市が同市外濠公園白鳥路に1500万円をかけて設置する同市出身の三文豪・徳田秋声、泉鏡花、室生犀星のブロンズ像が完成し22日午後、白鳥路中ほどの文豪像ゾーンに据え付けられる。三文豪の親族と連絡を取り合いながら写真、肖像画などの参考資料と親族の助言で8月に原型を完成させ、その後高岡市内で鋳造と仕上げが行われていた。秋声、鏡花像は鏡花の自宅に秋声が訪ねるという設定で制作されている。(北國新聞縮刷版 昭和60年10月号)
10月28日夕刊6面「三文豪再び故郷に立つ」と 11月29日17面「市立図書館にも三文豪像 白鳥路の原型を保存」という見出しで、先月、白鳥路に設置された三文豪像の石こう原型が、28日金沢市立図書館に設置された。県内の三人の彫刻家によって制作された原像が、高岡市内の鋳物会社で漆の上から青銅色に塗布され、ブロンズ像のように仕上げられた。(北國新聞縮刷版 昭和60年11月号)
(金沢の三文豪像・左より室生犀星・泉鏡花・徳田秋声)
室生犀星像(昭和59年(1984)作):室生犀星(本名: 照道(てるみち)明治22年(1889)8月1日金沢市千日町生まれ。昭和37年(1962)3月26日没。詩人・小説家。別号に「魚眠洞」。 米林 勝二(能美郡辰口町に生まれ,昭和7年石川県立工業学校卒、朝倉文夫に師事。具象派団体としては我が国最大の「日本彫刻会」に所属し,日展の第3科の常連作家として活躍します。金大教授を勤め、文化庁の文化行政功労者に認定されました。) |
泉鏡花像(昭和59年(1984)作):泉鏡花(本名鏡太郎(きょうたろう)明治6年(1873)11月4日金沢市下新町生れ。 昭和14年(1939)9月7日没。小説家。明治後期から昭和初期にかけて活躍しました。 得能 節朗(昭和5年~:岡山県生まれ。軍医であった父の勤務で、栃木・中国旅順・東京など転地する。昭和29年金沢美術工芸短期大学専攻科修了。畝村直久に師事。26年第7回日展初入選、42・43年特選、57年会員賞。42年日彫展日彫賞。平成7年日展内閣総理大臣賞。日展評議員、金沢美術工芸大学名誉教授。) |
徳田秋声像(昭和60年(1985)作):徳田秋声(本名末雄)明治4年(1872)金沢市横山町生れ。昭和18年(1943)11月18日没。小説家。 山瀬 晋吾(昭和10~:珠洲郡内浦町に生まれ。昭和33年金沢大学教育学部美術専攻を卒業。40年第8回日展に初入選、58・59年連続して特選を受賞。少年・少女をモチーフとし、清楚で純真な子どもたちの、ロマンあふれる夢の世界を追求しています。日展評議員、日本彫刻会会員。) |
この白鳥路の彫刻は、平成5年(1993)までに18点を設置され、同年より「まちなか彫刻設置委員会」が設けられ、白鳥路以外の緑地や街頭等に、金沢美術工芸大学の学生や卒業生の作品を中心に設置事業を続けられています。
「白鳥路の流れ)
まちなか彫刻―金沢市(いいね金沢)金沢まちなか彫刻見て歩きマップ
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/choukoku/map/map.htm
平成17年(2005)4月に、金沢まちなか彫刻設置基本方針が策定され、街路や公園・緑地など屋外の公共的な空間に彫刻やモニュメントを設置しパブリックアートとして、街中に潤いと安らぎを感じられる魅力ある都市空間を創りだし、市民が歩いて楽しめるまちづくりの一環として進められています。
「大手町口の白鳥像・山瀬晋吾作)
(平成17年3月現在の設置彫刻は99+28+28+7=127体(内白鳥路は21体)で作品種類は、抽象作品 51体(40%)・具象作品 76体(60%)※オブジェ、モニュメント等除くとなっています。しかし資料が古いため数字は正しいかどうかは分かりませんが、参考まで。)
≪白鳥路の彫刻≫
白鳥路の百間堀側に入口の「前田利家公の銅像」「三文豪の銅像」以外は、歴史上の人物像ではなく、また、元日展理事長の富永直樹氏の“清流“の1点をのぞき金沢ゆかりの彫刻家の具象作品です。
(②清流・富永直樹作・富永は日展理事長)
(③街角・松田尚之作)
(④雨上がり・得能節朗作)
(⑤空・矩幸成作)
(⑥女立像・長谷川八十作)
(⑦寛ぎ・吉田鎮雄作)
(⑧室生犀星・米林勝二作⑨泉鏡花・得能節朗作⑩徳田秋声・山瀬晋吾作)
(⑪陽が昇る時・谷村俊英作)
(⑫韻・昼間弘作)
(⑬愛の十字架・石田康夫作)
(⑭翔・野畠耕之介作)
(⑮健やか・田中昭作)
(⑯風・得能節朗作)
(⑰ちいさな願い・銭亀賢治)
(⑱青春の譜・野畠耕之介作)
(⑲高い高い・川岸要吉作・中学で美術ではなくテニスを習いました。)
(⑳いずみ・竹下慶一作)
(つづく)
参考資料:北國新聞縮刷版 昭和60年10・11号・金沢市ホームページ“金沢まちなか彫刻見て歩きマップ”ほか