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作庭記と兼六園-下-⑥

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【兼六園】

29、禁忌 水の禁止事項

《原文》一池はかめ、もしハつるのすがたにほるべし。水ハうつはものにしたがひてそのかたちをなすものなり。又祝言をかなにかきたるすがたそなど、おもひよせてほるべきかなり。

一池ハあさかるべし。池ふかけれバ魚大なり。魚大なれバ悪虫となりて人を害□。

一池に水鳥つねにあれバ、家主安楽也云々。

一池尻の水門は未申方へ可出也。青竜の水を白虎の道へむかへて、悪気をいだすべきゆへなり。池をバ常さらさらふべきなり。

一戌亥方に水門をひらくべからず。これを寿福を保所なるゆへなり。

一水をながすことは、東方より屋中をとおして、南西へむかって、諸悪気おすすがしむるなり。是則青竜の水をもて諸悪を白虎の道へ令洗出也。人住之ば、呪詛をはず、悪瘡いでず、疫気なし、といへり。

 

 

(霞ヶ池より、亀甲島(蓬莱島)を望む)

 

(訳:1、池は亀または鶴の形に掘るのがよい。水は器物に従ってその形を成すものである。また祝言を仮名に書いた姿だなどと考えて掘るべきである。

2、池は浅い方がよろしい、池が深ければ、魚が大きくなる。魚が大きければ、悪虫となって人を害するからである。

 

(霞ヶ池の水抜き)

 

(霞ヶ池は、現在面積は約58002、深さは最も深いところで1.5あります。)

 

(池の水鳥)

 

3、池に水鳥が常にいれば、家主は安楽である。

4、池尻の水門は、南西(未申)へ出すべきである。青竜の水を白虎の道へ迎えて悪気を出すからである、池は常によく浚わなければならない。

 

(やり水(曲水)の清掃)

 

5、北西(戌亥)に水門を開いてはならぬ。北西は寿福を保つところである。

6、水を流すことは、東方から屋中を通して、南西(未申)へ向かえて諸悪気をすすがせるのである。これはすなわち青竜の水で、諸悪を白虎の道へ洗い出すのである。人がここに住めば咒咀(呪咀・じゅそ)を受けず、悪瘡がでず、病気がないという。)

 

(以上、四神相応的思想が強く働いています。)

 

 

(瓢池の鶴亀島)

 

兼六園では

霞ヶ池の蓬莱島は別名亀甲島ともいい、島が亀の形をしています。同じ兼六園の瓢池にも鶴亀を配していて、鶴を模した松の木があります。文政の頃、竹澤御殿の出仕し、後に金森宗和流を継ぐ、今の桜橋にあった2000石取りの九里家の庭にも有ったという。鶴亀を配するのは、陰陽道と云うか神仙思想の庭造りの定形であったようです。しかし兼六園全史の作庭記の筆者(山森青碩翁)によると、金沢では、古来亀形石を商うことを庭師は嫌ったが、これは作庭上忌むべきからと云うべきである。と書かれています。

 

 

 

 

(つづく)

 

参考文献:「兼六園全史」編輯者 兼六園全史編纂委員会・石川県公園事務所  兼六園観光協会 昭和5112月発行「兼六園を読み解く」長山直治著 桂書房 200612月発行 「兼六園歳時記」下郷稔著・能登印刷出版部 平成53月発行 ほか


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