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加賀藩御料理人伝説①身分と役職

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【加賀藩・金沢城】

先日、旧台所町を調べていて、金沢が舞台で加賀藩料理人を題材にした平成25年(201312月に公開された映画「武士の献立」や元治の変(禁門の変)で加賀藩攘夷派の志士として無念の切腹で果てた料理人青木新三郎、そして、幕末の加賀の歌人で、元禄の頃から歴代33人しか任命されていない御料理頭大友粂満(儀左衛門)が頭に浮かびました。「武士の献立」の映画は見ていますが、他はよく分かってなくて、今回は身分や禄高、組織、世襲制の有無等を調べました。まだまだよく分かっていませんが、今回は勝手に中間報告をさせて戴きます。

 

(旧台所町の石標)

 

御台所奉行(平士)

御台所奉行の起原は、承応3年(165412月御定書にその趣が見えるが、姓名及び職名の著明なのは、寛文8年(1668)に前田弥五作が命ぜられ、延宝2年(1674)に免ぜられたのが初めで、その後、野村四郎左衛門が務め、貞享4年(1687324宮井武兵衛、元禄5年(16924内藤市郎兵衛にこれを命ぜられ、この時まで皆平士役でしたが、元禄12年(169967坂野忠兵衛長高が命ぜられてからは頭分の職(三品の士)となり、役料100を賜っています。宝永2年(17054月に坂野忠兵衛長高が病死し、64稲垣八平安定が命ぜられ、宝永7年(1710819日免ぜられ、同月21青木新八郎篤淳、同月29高山藤右衛門元長が命ぜられて、以後2人が任命され、役料100を受けたとあります。

 

(金沢城石川門)

 

加賀藩の御料理頭(平士並)

元禄10年(169766日、長谷川右衛門・森辰右衛門が初めて命ぜられ役料20を与えられます。同月28日に原田市郎左衛門が、元禄12年(16995月に市川八郎右衛門が任命され、計4人となり、役料も前と同じでした。これから後は3人役となり、明和2年(1765)に至り、欠職となっているが、同年再び大杉源左衛門に命ぜられ役料80を給い、この後、役料を廃し、翌年舟木長左衛門が再び命ぜられて2人役となり、後に続く。御料理頭と御料理頭並が元禄10年(1687)に置かれられて以来、文久まで36になりますが初代御料理頭を務めた長谷川家(5人)以外は「御料理頭の常連」の家がなく、世襲的な役職ではなかったことが窺えます。(一部加能郷土辞彙より)

 

(藩政期の加賀藩の身分と組織)

 

加賀藩の御料理棟取(平士並)

寛文元年(1661長谷川五兵衛が命じられ、姓名の知られる初めで、同10年(16701219中村長右衛門にこれを任じ、同じ頃原田市郎左衛門もこれを勤め、それより3役となり、御料理頭の任務を一切つかさどっていたが、元禄10年(1897)御料理頭が置かれてから、その下に属し2人役となり、常に御料理人から選ばれました。(加能郷土辞彙より)

 

 

(人は石垣)

 

御料理人(御歩並)

藩の割烹に従事するもので、御歩に順ずるもので、御料理人は何人いたかは正確ではないが、約50が任命されていたものと考えられます。宛行は不定ですが、まずは35を定禄とし、子弟として召し出された時は七人扶持が与えられる。但し御料理頭の子は五人扶持と銀5枚であった。(加能郷土辞彙より)

 

(一人扶持は1日五合、年間で一石七斗。銀5枚は加賀藩では白銀五枚といい、贈答用で一枚銀三分ぐらいを紙に包んだもので、現在のお金で1枚約7万5千円位か?)

 

加賀藩の御料理人並(御歩並?)

文化3年(18068月、島倉林右衛門は御台所同心小頭から御料理人並になったが、以後この職名はない。(加能郷土辞彙より)

 

(安政期の台所組地)

 

(現在の旧台所町6番丁)

 

加賀藩の御台所付同心(足軽)

元禄12年(1699)に始まり、御台所奉行に属し、御料理人の下役にて、魚類の鱗を取るなどの下料理をするのが仕事で板前と称したそうです。組地は、元笠舞村の田圃が藩の用地になり、同心板前の組地になりますが、延宝の金澤図に記載がないことからも、組地になった時期ははっきりしませんが、どうも以前、同心組地は石浦新町にあったらしく、元禄の頃に笠舞村に移転したと伝えられています。

 

(昭和29年の旧台所町)

 

(つづく)

 

参考文献:「包丁侍舟木伝内」陶智子・綿抜豊昭著 株式会社平凡社 2013109日発行 「金沢古蹟志」第5編 森田柿園著 金沢文化協会 昭和92月発行・「加能郷土辞彙」日置謙編 金沢文化協会 昭和171月発行

 


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