【金沢城玉泉院丸→尾山神社】
鼠多門と鼠多門橋が今月18日完成しました。歴史愛好者、観光に携わる人々や一部の県民にとっては永年の願いであり、谷本正憲石川県知事にとって金沢城の復元は在任中の業績でもあり悲願だったものと推測されます。当初、鼠多門と鼠多門橋の完成予定は年末でしたが、知事は今年のオリンピック前の完成を望み、コロナ禍でオリンピックが来年開催になっても、望み通り今月に完成に漕ぎ着け、よっぽどうれしかったのか!?舞い上がったのか?失言が続出、県民から顰蹙(ひんしゅく)を買いますが、これも石川県民へのサービス精神から本音が飛び出したものか、これからも続く二の丸御殿復元への通過点とばかり、寛大な県民は聞いていても聞かぬふり・・・・だったようです。
(鼠多門と鼠多門橋)
(マス媒体によると、コロナで露呈した「肩書きが泣くバカ」5つの典型例の一つとして、令和2年(2020)3月27日、谷本正憲石川県知事が会見で、「無症状の人は石川県にお越しいただければ。新幹線もあり、2時間半で来られますから」と県内観光をアピール。批判の声にも「鎖国制度なんてとったら日本経済破綻します」と反発した。谷本知事は4月1日にも、「兼六園を散策すればリフレッシュできる」とPRしていたが、同県初のクラスターが確認された10日、「局面が変わった。石川県に極力入っていただかないように」と発言を撤回。と書かれていました。)
(開門の記事・北國新聞)
コロナ禍で明るいニュースが少ない金沢でも、ローカル新聞や放送局は、久々のビックニュースで大爆発していました。それに煽られるように私も呼ばれない完成式を外し、一般公開を目指し出掛けました。前日の天気予報では、曇時々小雨、降水確率60%が、幸運にも予報が外れ、行列に付いて鼠多門に入り、櫓の2階から橋を眺めると大勢のマスクの見物客が行ったり来たりしている姿につられ、門から外に出て橋を渡ると何人もの熱心なガイド仲間にも出会いました。
(幕末の絵図・玉泉院様丸と玉泉院様丸御門)
数日たって町で聞いた話ですが、136年間も影も形もなかった門も橋も不意に出現したので、地元の年配者の知名度は低く、鼠多門の名は、ここ2年間、TVや新聞で聞いていても何処に有るのか知らない人も多いようです。若い人の方が情報誌などでよく知っているらしく鼠多門を“チュウチュウ門”と軽い言い方をする女性がいるそうです。その反対に幕末には、加賀藩の弱体化からか?権威を重んじてか?軽々しく呼ぶ事を良しとせず、玉泉院丸を“玉泉院様丸”と呼びその門なので“玉泉院様丸御門”と呼ぶように言わされていたらしい・・・。
ところで門の石垣ですが、明治の解体時に表面(堀側)に使われた石を元の側面に移すにあたり、古い260個の石と新しい340個の石をかみ合わせ配置するため、新しい技術の3Dプリンターを使い模型を作り、石積法を再現するなど、先端技術を駆使した石垣。大工、左官は伝統工法の職人約90人の技と、まさに、新旧工法で忠実に復元しています。
(側面の石垣)
(海鼠壁の解説板)
(使用木材)
鼠多門の櫓は、明治期の2枚の写真もあり、また、絵図や地形図から位置や容姿等から史実を得て忠実に再現されています。1階、2階の外壁は鼠色の平瓦と黒漆喰の海鼠壁は、現在、城郭建築では全国的に例を見ないものとされています。また、床や壁の建材は能登ヒバや杉の県産材を75%が使用され、ほか関東産のケヤキ、東北産の松が用いられ全て国産材。工法は太い梁には釘一本も使われず伝統の組立工法を駆使しています。
(明治の鼠多門と鼠多門橋)
(鼠多門の石垣・2014頃)
(現在の石垣)
2つある階段は、1つは当時を再現した急階段で、もう1つは登り易く傾斜の緩くし、車椅子用の昇降機が付けられています。
(鼠多門の櫓内)
鼠多門橋は、城内最大規模の橋ですが、橋脚も橋の姿や長さ幅は、現代の建築仕様や車社会の交通事情に即し、完全な復元とはいえないものの鋼床版ラーメン構造の上に県木の能登ヒバで木装を施されたものです。
(櫓の2階より鼠多門橋)
(藩政期の橋の図面)
蛇足
鼠多門と鼠多門橋の完成で、“供用開始”と云う耳慣れない言葉が新聞に踊っているのが気になって仕方がなくググると、法律用語で道路法や下水道法に用いられる言葉だそうです。道路法では以下のように書かれています。私にはピンと来ませんが、分らんことを書いて一般人へ啓蒙するのも新聞の使命なのかもしれないのかも・・・。やっぱ、開門とか渡り初めの方がピンと来ますがネ~。
(北國新聞より)
(供用開始:道路の供用の開始とは、形態を備えた道路を一般交通の用に供する旨を意思衣示する行政行為で、供用が開始されると道路法の規定が全面的に適用されます。自動車専用道路、自転車専用道路、自転車歩行者専用道路、歩行者専用道路を指定して、車両等の通行を制限することができます。)
参考史料:北國新聞・フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」など