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昔の金澤③藩政期の商人その㈡ 

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【金澤・藩政期】

城下町の行政を担当する役人には、藩側は武士身分の町奉行、その下に町同心、町同心並、町下代、町足軽がいて、町人側は町人身分の町年寄、銀座役、散算用聞、横目肝煎、町肝煎など武士身分を上回る多数の役人がいました。それは藩主に対する負担さえ果たせば、後は町人身分の町年寄以下に裁量に任せたという、いわゆる町自治ですが、実際には藩政初期火災予防、治安、風俗、中期からは商業活動など関する通達を合わせると121ヶ条布告され、町奉行干渉統制が強く町自治とは程遠いものだったと云われています。

 

 

 

町年寄・町肝煎は、文禄3年(1594)に尾山町年寄が任命されたのが最初で、町奉行が任命しています。町年寄の下に銀座役・散算用聞・横目肝煎・町肝煎・組合頭がいて、町肝煎は本町肝煎・地子町肝煎・門前地肝煎・大工肝煎・惣構橋番肝煎等分かれていました。

 

(この町肝煎は住んでいるところを管轄するのではなく、情実を避けるためか、居住地より遠い所を管轄していました。組合頭は、1町に1人ないし数人が置かれていました。また、1人で数町を担当していることもあり、組合頭1人で60軒ぐらいの町家を担当した者もいました。組合頭の主な仕事は、町人の相続、家の売買の届け出等でした。)

 

 

 

 

拙ブログ

金沢・江戸、町年寄

https://ameblo.jp/kanazawa-saihakken/entry-11445770606.html

 

町年寄:寛永期は定かではないが、慶安4(1651)には森下屋八左衛門(尾張町)はじめ10人の一番組と中屋彦右衛門(南町)2番組10人と合わせて20が任命され、寛文9(1669)には半分の合計10になりますが、これらの町人はこれといった商いをもたず、藩主の要請で必要とする物資を調達する町人で、藩主と関係の深い職人・商人でした。延宝6年(1678)には4に元禄4(1691)には3になり、以後幕末まで勤めたのは香林坊・平野屋・中屋・宮竹屋・本吉屋・金屋・浅野屋の子孫でした。

 

 

銀座役:吹座で鋳造の金銀の秤量・発行・鑑定を行っていましたが寛文7(1667)幕府の通貨統制により鋳造をやめた後は、銀貨の良否、真贋の鑑定、他国の金銀との引替えを行いました。淺野屋・金屋・紙屋、越前屋()・越前屋()・本吉屋・香林坊・森下屋・武蔵らの子孫が長くその役を勤めました。

 

(町年寄の役職手当は、幕末の場合は扶持米5石4斗と諸手当当銀43匁(米と銀で今の10,410千円余)他に兼職手当があり、銀座役は扶持銀3貫目(5,010千円余)無職の場合は銀87145千円余)が加増されました。町年寄・銀座役は所定の手当の他、多くの役得が有り、散算用聞、横目肝煎、本町肝煎も同様でありました。)

 

散算用聞:宝暦11(1761)から始まり、城下町内の商品価格を監視し、物価の安定を主な任務としたが、他に町に関する一切の会計事務をおこないました。

 

 

横目肝煎:万治2(1659)に始まり、町会所の不正、城下町内の秩序をただす役目で、年寄・銀座役も横目肝煎には遠慮していたそうです。

 

散算用聞の役職手当は、扶持銀860匁に兼帯料64匁、計9241,573千円余)、横目肝煎は、扶持銀1200匁の他に諸手当1810匁、計3貫10匁(5,026千円余)でした。)

 

 

町肝煎:本町肝煎・地子町肝煎・門前町肝煎に分かれていました。文化8年(1811)には町肝煎の1人大衆免屋八郎右衛門は野町1丁目~6丁目を裁許し、山田屋文助尾張町・橋場町・下博労町3町を裁許しました。地子町では、何町もの裁許する肝煎が多くいて、10町も裁許していた肝煎もいました。各町の肝煎は、裁許する町の戸口調査・宗門の吟味、価格の査察、小物成・役銀の徴収などの業務をしていました。

 

町肝煎の下には、町役人ではないが組合頭という役があり、組合頭は専業ではなく自分の仕事をもっている事で兼務が原則で、町には隣保制度があり110人が組織され、番徒・番人がいて、番徒は町の使い走りをし、番人は本町では木戸脇の番所に詰めて、警防・火災の予防に当たり、番人は亭主番・番の棒・夜番とも呼ばれていました。)

 

(本町肝煎は、銀543906千円余)地子町肝煎は、銀500835千円余)を給されました。)

 

 

 

文化文政貨幣価値の現在の価値(1石=10万円・一両=10万円・1匁=1,670円)

 

つづく

 

参考文献:「昔の金澤」氏家栄太郎著 金澤文化協会 昭和75月発行 「金沢町人の世界」田中喜男著  国書刊行会 昭和635月発行ほか


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