Quantcast
Channel: 市民が見つける金沢再発見
Viewing all articles
Browse latest Browse all 876

作家と職人は同じか

$
0
0

【鈴見橋→浅野川大橋】
先日発行された山出保氏の「金沢の気骨」に“作家と職人は同じか”という件がありました。来沢したフランスのエルメス社のディレクターが市内の工房やお店で、「作家と職人は同じか、違うか。あなたはどっちですか。」と職人や店員に聞きくと、“返事がない”か、あっても不十分であったと言うことが書かれています。


市民が見つける金沢再発見
(山出保著「金沢の気骨」)


そう、観光ボランティアガイドとしては、フランス人から問われることは、まずありませんが、国内のお客様から問われてら何て応えていたでしょうか。幸か不幸か今までには、そこまで聞く人もいませんが、聞かれたら多分“シドロモドロ”で人も自分も分からない話をすると思うと冷汗、脇汗ものです。


私の場合は、多少の知識があるばかりに聞かれもしない余分なことをいいそうです。視点の違う幾つもの見方が整理されないままゴチャゴチャになっているので、聞く人の立場を考えず、勿体つけて難かしくしたり長くなったり、分かったような分からない話になりそうです。


作家(artiste)と職人(artisan)の違いは?
「作品を作るのが作家で商品を作るのが職人」
「神の啓示をうけ創るのが作家で、お客様(こちらも神様)のニーズで作るのが職人」
「宇宙の原理原則をめざして創るのが作家、お金をめざして作るのが職人」


市民が見つける金沢再発見
(画材?道端で見る花々)


「作家は創造性を重視する人、職人は技術に優れているが、創造的精神の乏しい人?」
「職人は、藩政期の士農工商の「工」にあたり、現在いう美術は当時なく、美術は工芸に内包していました。優れた職人は歴史的に尊ぶ伝統があったらしい」


「フランスでは、昔は作家と職人は同一視されていたらしい。近代の分業指向によって両者は分断され、作家は芸術家、職人は無名の縁の下の力持ちのような存在になったとか」
等々。


市民が見つける金沢再発見
(画材?道端で見る花々)


日本では、特に工芸家は職人であり作家という方も多く、そういうこともあり作家と職人の違いを明快に応えられないのでしょう?また民芸と工芸の違いなど、改めて確認しておきたいことがいっぱいです。そう山出氏の「金沢の気骨」は忘れていた諸々を呼び覚ましてくれます。


(金沢の工芸を、かの柳宗悦は“貴族的工芸といい、民芸と区別しています。)


市民が見つける金沢再発見
(”杜若”我が家にあった唯一の”雨山”の染額)


そこで、職人であり作家で、“昭和の友禅斎””加賀友禅そのもの“といわれた友禅作家“木村雨山”氏の語録を子どもにも分かるように書かれた本を引っ張りだして勉強のやり直しをしました。


≪自分の仕事と金沢について≫
「金沢ァ雨が降る。冬ァ雪が降る。そしてその冬ァ長くて寒い。だから、人と人とは身体寄り合うようにいきんなン。大っぴらに大きいことはやれん。小さい、目立たないことでまじめに根気よくやれるもんンで、漆器とか、友禅とか、象眼とか、鮎の毛針みたいもンが発達した。昔の人ァ、仕事を楽しんだと思う。これが金沢の職人の心や。」


≪若い人の指導にあたっては≫
「あなたは、これをかいている時、何か他のことを考えていたでしょう。」


≪若い人には“観る”ことを厳しく教えた≫
「草花は、1分もじっとしていません。生き続け、動いていますから、朝と夕方とではいっしょではありませんよ。」


市民が見つける金沢再発見
(画材?道端で見る花々)


≪職人として作家として≫
「職人だから、注文の品を作ってお金をもらう。しかし、それだけではよい仕事ができない。自分の作ったものが、よいか、悪いか、展覧会で批評をうけなくではだめなんだ。」


市民が見つける金沢再発見
(浅野川右岸より)


≪“雨山”の手本は、日本の自然の姿だった≫
「私の着物は、みんな散歩から生まれたようなもんですね。」


市民が見つける金沢再発見
(浅野川上流)


(雨山は、橋場町生まれで、横山町で住みました、散歩は浅野川周辺……。)


市民が見つける金沢再発見
(画材?道端で見る花々)


≪お金がないわけではないのに、服装や食事も、驚くほで質素だったという≫
「食べるものに手間がかかる食事は、時間がもったいない。」


市民が見つける金沢再発見
(散歩コース?卯辰山)


≪時間をとられることを嫌い、来客には、居留守をつかったらしい≫
いつも朝3時に起きても「わたしは仕事の虫。」「日のたつのが早すぎる。」「もっと時間がほしい。」


そして氏は、責任感からか、一作品ごとに、”雨山”のサインを染めこんだそうです。


市民が見つける金沢再発見

また余分なことまで書いて、なおややこしくなったかも・・・


参考文献:「金沢の気骨」山出保著平成25年4月北国新聞社発行・「金沢の民話と伝説」平成元年10月金沢こども読書研究会発行」


Viewing all articles
Browse latest Browse all 876

Trending Articles